バチカン美術館:Musei Vaticani - 見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想など
バチカン美術館(ヴァチカン美術館)は、キリスト教美術をはじめ幅広いテーマのミュージアムからなる美術館・博物館の集合体です。2017年は世界中から約643万人が訪れました。
バチカン美術館の歴史
バチカン美術館の展示室は教皇(法王)などの居室だったところもあり、美術館の歴史はそうした居室の建設とともに始まっているともいえます。そういう意味では15世紀に建設されたニッコリーニ礼拝堂と「ボルジア家の間」は、バチカン美術館のはじまりを考えると重要といえるでしょう。
しかし、実質的な美術館のはじまりは、1506年に教皇ユリウス2世(在位:1503-1513)が古代の彫刻を展示したことにあります。システィーナ礼拝堂の天井画もこの頃(1508年~1512年)に描かれています。ちなみに「最後の審判」は1535年から1541年にかけて描かれました。
その後、天正遣欧少年使節団も謁見したグレゴリオ13世(在位:1572-1585)の時代に「地図の間」が作られたり、クレメンス14世(在位:1769-1774)・ピウス6世(在位:1775-1799)の時代にギリシアやローマの彫刻を展示するピオ・クレメンティーノ美術館ができたり、ピウス7世(在位:1800-1823)の時代に古代彫刻や石棺・石碑などのコレクションを誇るキアラモンティ美術館が建設されたり、グレゴリオ16世(在位:1831-1846)の時代にエトルリア美術館やエジプト美術館ができたりと、歴代の教皇によりさまざまな美術・工芸・芸術などが収集・展示されてきました。
1984年にはバチカン美術館も含むバチカン市国が世界遺産に登録されました。
バチカン美術館のミッション
教皇の美術館・バチカン美術館のミッションは、大きく二つあります。
「芸術は福音伝道である」
音楽、建築、彫刻、絵画などのさまざまな芸術表現により、文字ではなく五感を通じて神の御業・教え、聖書で語られる物語などを伝えられることから芸術は重要と考えられているようです。一言でいえば、芸術は福音を伝えるための重要な手段ということでしょう。
「すべてに対して開かれたミュージアム」
バチカン美術館は宗教や国籍などを問わず、知識や教養の有無などにもかかわりなく、すべての人に開かれていることを基本としているようです。また、埃を被ったような古いものが展示されているのではなく、常に新しい表現にも目を向けているなどの点でも開かれた美術館を目指しているようです。
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バチカン美術館の構成
バチカン美術館は、複数のミュージアムの集合体です。公式サイトには26のミュージアムやギャラリーがリスト・アップされています。
バチカン美術館の見どころ
広大で、第一級の資料も数多くコレクションしているバチカン美術館ですから、見どころだらけです。ルーブル美術館や大英博物館などと同じように、じっくり見だしたらいくら時間があっても足りません。
これだけは見逃さない方がいいものは、「バチカン美術館 見どころ」などで検索するといろいろな方がいっぱい記事をアップしていらっしゃいます。詳細はそちらに譲りたいと思いますが、私が感動したのは次のところです(全部、感動的でしたが、あえてピック・アップするならです)。
なお、見学にあたっては、ガイド・ブックなどがあるといいと思いますが、少なくともインフォメーションで館内マップをもらった方がいいでしょう。マップといっても動線が一筆書きの線で館名とともにかかれている程度のものですが、役立ちました。
絵画館(Pinacoteca)
宗教画が素晴らしかったです。ジョット、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラッファエロ、カラヴァッジョなどをコレクションしているようです。
地図の間(Galleria delle Carte Geografiche)
とっても豪華な地図のギャラリーです。長い廊下のような展示室ですが、そこにいろいろな地図がかかっていて次から次へと見ることができます。天井もとても美しいです。
無原罪のお宿りの間(Sala dell’Immacolata)
ここの壁面が素晴らしいです。圧倒されました。
ラファエロの間(Stanze di Raffaello)
4つの部屋からなるラファエロの間。壁面を飾るフレスコ画はどれも素晴らしいものですが、特に有名なのが「アテナイの学堂」と呼ばれる作品。ラファエロの最高傑作と呼ばれることもあるそうです。
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ボルジア家の間
バチカン美術館の中でも古い居室のようですが、豪華ながらも素朴さが感じられる天井画が良かったです。
システィーナ礼拝堂(Cappella Sistina)
他をスキップしても、バチカン美術館を訪れた人が必ず立ち寄るシスティーナ礼拝堂。
確かに圧巻で感動的でした。素晴らしいのは間違いありません。いくらでも見ていられます。実はここを訪れるのは2度目で、前回訪れたのは30年ぐらい前。日本テレビが資金を提供して修復を行っている最中でした。足場が組まれているシスティーナ礼拝堂を記憶しています。修復は1979年に実験的に先行修復が開始され、1980年から本格的に始まり、1999年に終了しています。
「最後の審判」はやはり見るべき作品だと思います。
ここは撮影禁止です。それでも撮影している人がいて、注意されていました。
そのほかにも、切手の博物館やエジプト美術館などもありましたし、幅広い作品が展示されていて驚きました。さすがバチカン美術館です。
バチカン美術館へのアクセス・行き方
地下鉄A線のオッタヴィアーノ(Ottaviano)駅から歩いて約7分です。
2017年の入館者数
2017年のバチカン美術館の入館者数は6,427,000人。ヨーロッパでは、ルーブル美術館の810万人に次いで2番目。ちなみに3番目は大英博物館で5,907,000人でした。
ひとこと
開館前に朝いちばんで行ったのですが、すでに大行列。別のところを見てから出直しました。そうしたらスムーズに入れました。うれしいことに、なんとこの日は、クリスマス・イブで無料入館でした。
ほんとにここは見どころだらけで見ごたえたっぷり。また行きたい美術館です!今度は迷わないでしょうしペース配分もできるでしょうから、ゆっくり見たいです。
info
Musei Vaticani
- 訪問日: 2017年12月24日
- 開 館: 1506年
- 入館者数: 6,427,000人(2017年)
- 所在地: イタリア・ローマ(Viale Vaticano, 00165 Roma)
- アクセス: 地下鉄A線のOttaviano駅から徒歩約7分
- 入館料: 17ユーロ(大人・個人・当日) ※各種割引制度あり。また、無料入館日が設定されています
- 開館時間: 9時~18時 チケット販売は16時まで ※毎月最終日曜は9時から14時まで開館(無料)
- 休館日: 日曜日、1/1、1/6、2/11、3/19、イースター及びイースター・マンデー、5/1、6/29、8/14・15(または15・16)、11/1、12/8、12/25・26
- 公式サイト : http://www.museivaticani.va/
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訪問した日の旅行記です。