古代都市テーベとその墓地遺跡 – ルクソールにある古代エジプトの見どころいっぱいの世界遺産

ライト・アップされているルクソール神殿

古代都市テーベとその墓地遺跡/Ancient Thebes with its Necropolis:概要、歴史、見どころ、アクセス・行き方、感想など

「古代都市テーベとその墓地遺跡」は、エジプトのルクソールにある1979年に登録された世界遺産(文化遺産)で、ルクソール神殿やカルナック神殿、ツタンカーメンの墓が発見された王家の谷などがあります。

 

古代都市テーベ

テーベは古代エジプトの都市で現在のルクソールにあたる地域。古代エジプトの中王国時代(紀元前2040年頃 – 紀元前18世紀頃)に首都になりましたが、新王国時代(紀元前1570年頃 – 紀元前1070年頃)に首都としてさらに繁栄し最盛期を迎えました。現在見られる多くの建造物・遺跡はこの時代につくられました。その後、都は移されグレコ・ローマ時代になると次第に衰退していったようです。

テーベはナイル川をはさんで両岸に広がっていましたが、東岸はカルナック神殿やルクソール神殿など生を象徴する建物があったことから「生者の都」と呼ばれ、西岸には王家の谷や王妃の谷など死を象徴する場所があったことから「死者の町」と呼ばれるそうです。「古代都市テーベとその墓地遺跡」として世界遺産に登録されたのは1979年のことです。

ナイル川の渡し船。東岸と西岸を結ぶ地元の人の大切な交通手段です

「古代都市テーベとその墓地遺跡」の主な見どころ

■ナイル川東岸地区:生者の都

ナイル川を中心に見ると、太陽が昇る側になることからかナイル川東岸は「生者の都」として、宗教的な施設が建設されました。

カルナック神殿(Temples of Karnak)

カルナック神殿は、神殿の複合体でその中心はアメン大神殿。アメン大神殿はもともとテーベの中心的な三神(アメン、ムト、コンス)のうち最高神でテーベの守護神であるアメンにささげられた神殿でした。その後、アメンは太陽神ラーと結びつき、国家の最高神アメン・ラーとなりました。

神殿の建設は、中王国時代にさかのぼり、新王国時代にかけておよそ2,000年間、増改築が行われたようです。信仰の中心地としての重要性がうかがわれます。副殿のルクソール神殿とは、およそ3kmある「スフィンクスの参道」で結ばれていたそうです。

アメン大神殿の巨大な柱が並ぶ様は美しく迫力がありました。

ルクソール神殿(Luxor Temple)

ルクソール神殿はカルナック神殿の副殿で、スフィンクスの参道でつながっています。現在見ることができるところの多くは、アメンホテプ3世(紀元前1390-紀元前1352頃)とラムセス2世(紀元前1279-紀元前1213年頃)の二人の王(ファラオ)により建設されたものということです。

入り口のところのオベリスクは本来2本あったようですが、1本はフランスに送られ、現在、パリのコンコルド広場に立っています。

ここも列柱が美しかったです。特にライトアップされた時は、より美しく見え、数も多かったので圧巻でした。カルナック神殿よりも保存状態が良いようにも感じたのですが、もしかしたら修復復元工事が行われたのかもしれません。

スフィンクスの参道

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■ナイル川西岸地区:死者の町

ナイル川から見ると、太陽が沈む側になるナイル川西岸は「死者の町」として、ファラオ(王)や王妃たちが埋葬されました。

王家の谷(The Valley of The King)

古代エジプトの新王国時代の王の墓が集中している王家の谷。現在まで64の墓が発見されていますが、大部分は盗掘されていたそうです。唯一、未盗掘だったのは1922年に発見された超有名なツタンカーメンの墓。副葬品はカイロのエジプト考古学博物館で見ることができます。

入場券で3か所の王墓に入れますが、ツタンカーメンの王墓は別料金。見たかったのですが、参加した現地ツアーでは行きませんでした。残念です。

ここは基本的に撮影禁止でカメラも預けます。ただし、カメラの持ち込み料を支払えば、内部はNGなものの、外の風景は撮影OKでした。

メディネト・ハブ(Medinet Habu:ラムセス3世葬祭殿・Mortuary Temple of Ramses Ⅲ)

紀元前2世紀頃のラムセス3世の葬祭殿。ラムセス2世を敬愛していた3世がラムセス2世の葬祭殿・ラムセウムをまねて作ったとか。ここは保存状態が良いといわれていて、確かに色が比較的残っているレリーフなどがありました。レリーフのテーマはラムセス3世の活躍を描く戦争のものが多いようです。

ハトシェプスト女王葬祭殿(Mortuary Temple of Hatshepsut)

古代エジプトただ一人の女王ハトシェプストが紀元前1500年頃に造営した葬祭殿です。他の葬祭殿や神殿などとは、横長であることなども含めて設計が違っていてユニークです。ここはとても状態が良いと思えたのですが、保存・修復工事が行われたのかもしれません。

ここで忘れてならないのは、凄惨なテロ事件の現場になったということ。1997年のことです。日本人10名を含む62名の命が失われました。

メムノンの巨像(The Colossi of Memnon)

かつて存在したというアメンヘテプ3世の葬祭殿。その入り口にあたるところにこの巨像があります。向かって右側の像は、紀元前27年の地震でひびが入り傷んだようです。そのためか夜明けにうめき声や口笛のような音が聞こえるようになったといいます(湿度などの関係で音が出たらしいです)。それを聞きに当時の偉い人がいっぱい来て巨像の台座に署名をしていったとか。その後、修復され音は聞こえなくなったそうです。

車窓から見たメムノンの巨像

西岸には、そのほかにもラムセス2世の葬祭殿「ラムセウム」やラムセス2世の王妃ネフェルタリなどが眠る「王妃の谷」、新王国の高官たちの墓「貴族の墓」など見どころたくさんあります。

「古代都市テーベとその墓地遺跡」へのアクセス・行き方

カイロからは、長距離バスもありますが、空路または鉄道でルクソールへ行くのが一般的でしょう。遺跡などを見どころを効率よく一通り巡りたい場合は、現地ツアーなどに参加した方が良いと思います。

ひとこと

現地ツアーに参加してルクソールを観光したのですが、見どころだらけでしたし、見ごたえたっぷり。神殿の迫力などにはほんとうに圧倒されました。ツアーではちょっと物足りなかったですが、行ってよかったです。

ハトシェプスト女王葬祭殿では、1997年にテロが起き日本人も犠牲になっています。20年ぐらい前のことで、最近はルクソール周辺は落ち着いているようですが、外務省の「海外安全ホームページ」を活用するなど治安情報には十分注意が必要だと思います。

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info

古代都市テーベとその墓地遺跡/Ancient Thebes with its Necropolis

  • 訪問日 : 2018年1月7日
  • 所在地 : エジプト・ルクソール
  • アクセス : カイロからルクソールまでは、鉄道で9時間程度、空路で1時間程度
  • 登録年 : 1979年
  • 登録区分 : 文化遺産
  • 開 館 : -
  • 入館者数 :-
  • 入場料 : 大人・個人・当日・外国人の入場料は、カルナック神殿が120エジプト・ポンド、ルクソール神殿が100EGP、ハトシェプスト女王葬祭殿が160EGP、王家の谷が160EGP、ツタンカーメンの墓が200EGP
  • 開館時間 : -
  • 休館日 : -
  • ユネスコ世界遺産センターURL : https://whc.unesco.org/en/list/88/

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