タージ・マハル - 美しすぎる霊廟。インドといえばの世界遺産

タージ・マハル

タージ・マハル/Taj Mahal:概要、歴史、見どころ、アクセス・行き方、感想など

タージ・マハルは、1983年に登録された世界遺産(文化遺産)で、ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが愛する妃のために建設した霊廟です。建設は1632年から1653年にかけてといわれ350年以上前のことです。

 

タージ・マハルとは

タージ・マハルを建設したのは

タージ・マハルを建設したのは、ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーン(在位:1628年-1658年)です。

ムガル帝国は、1526年から1857年(1858年)まで続いたインドのイスラム王朝。「ムガル」とは「モンゴル」に由来する言葉で、ムガル帝国始祖のバーブルがティムールやチンギス・ハーンにゆかりがあり、モンガルにルーツを持っていたことからムガル帝国と呼ばれるようになったそうです。ただし、実態としてはトルコ(ペルシャ)語を話したりなどトルコ系民族の出自といった方が良いようです。

ムガル帝国はシャー・ジャハーン帝と息子の第6代アウラングゼーブ帝の時代にもっとも繁栄しました。

タージ・マハルの建設目的は

宮殿のようにも見えるタージ・マハルですが、シャー・ジャハーン帝の妃のムムターズ・マハルの霊廟です。

ムムターズ・マハルは、ムガル帝国の政治家で武将、宰相だったアーサフ・ハーンの娘でペルシャ系だったそうです。本名はアルジュマンド・バーヌー・ベーグム。

シャー・ジャハーン帝との間に、14人の子どもをもうけたそうですが、同行していた遠征先で14番目の子どもの産褥時に36歳の若さで亡くなりました。1631年のことです。

タージ・マハルの名前の由来

タージ・マハルの名前の由来は、シャー・ジャハーン帝が愛する妃に贈った称号「ムムターズ・マハル」に由来し、ムムが消え、ターズがインド風発音のタージになったというという説があります。ムムターズ・マハルはペルシャ語で、意味は「宮殿の光」「宮廷の選ばれし者」「宮殿の王冠」などになるそうです。

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タージ・マハルの概要と特徴

タージ・マハルは、ヤムナー川のほとりにある南北560m、東西303mの敷地に建設されています。建設はムムターズ・マハルが亡くなった翌年の1632年から1653年にかけての22年間といわれ350年以上前のことです。

このタージ・マハルを建設するために、ペルシャやアラブ、ヨーロッパからの職人なども含め常時、2万人もの人が働いていたといいます。また、建設費用も膨大なものなのは確かですが、はっきりしたことはわからないようです。一説には、現在の貨幣価値で20兆円という金額になるというのを読んだことがあります。

外観は、あらゆる点が美しい左右対称、シンメトリー。これがよくわかるのは、南門からのアプローチです。

南門には大楼門があります。その高さ30mの大きな赤砂岩の美しい門を入ると、目の前には庭園が広がり、その奥に墓廟が見えます。まさにタージ・マハルのイメージどおりで、庭園の水路に浮かぶ墓廟が美しく、インスタ映えします。

ちなみに、左右対称で美しい写真を真正面から撮ろうと思ったら、時間帯などにもよるでしょうが、けっこう根気と厚かましさが必要です。墓廟をつまみ上げたり手のひらに載せるような写真を撮っている人を多くみかけましたが、そのような写真は真正面に拘らなければ比較的容易に撮れると思います。

基壇の高さは5.5m。この上に墓廟や高さ43mの4本のミナレット(尖塔)があります。

墓廟は、縦横が57mの正方形で、四隅が切られた八角形になっています。ドーム頂上までの高さは58m。ドームの上に立つ装飾=頂華まで入れると高さはもっとあります。

墓廟内部は意外に狭いもので、中央にムムターズ・マハルの墓が置かれています。その隣にシャー・ジャハーン帝の墓もありますが、そのために左右対称がここでは崩れてしまっています。内部は撮影禁止です。

なお、本来のムムターズ・マハルとシャー・ジャハーン帝の墓は、その下の地下=基壇部分にあり、そちらは別途有料(200ルピー)で公開されているようです。私が行った時は公開されているような雰囲気ではなかったのですが、見落としたのか、それとも私が訪れた後から公開されるようになったのかは不明です。

タージ・マハルの墓廟には、28種類の宝石などが埋め込まれていたといいますが、ムガル帝国の衰退に伴い略奪の対象になってしまったようです。

基壇の上は土足禁止で、入場時にもらったシューズ・カバーをはきます。

墓廟・基壇の左右には、モスクと集会場があり、ここも左右対称になっています。このようなモスクと集会場は、他のムガル帝国時代の霊廟にはなく、タージ・マハルならではの特徴のようです。

外壁部に、インド各地の遺跡などをパネルなどで紹介している小さなミュージアムがありました。

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タージ・マハルあれこれ

アーグラ城とタージ・マハル

ムガル帝国の基礎を築いたといわれるのは、第3代皇帝アクバル帝(在位:1556年-1605年)で、この治世の時に都がアーグラになりました。この時にアーグラ城も建設されましたが、暑く住みにくかったようで長らく放置されていました。しかし、シャー・ジャハーン帝の時代になり大規模な増改築を行い住みやすいものにし居城としました。

権勢を誇ったシャー・ジャハーン帝ですが、病に倒れると皇位を巡り息子たちの間で権力闘争が起きます。最終的には三男のアウラングゼーブが皇位を継承しましたが、シャー・ジャハーンをアーグラ城のムサンマン・ブルジュ(囚われの塔)に幽閉します。そこから、シャー・ジャハーンは愛妃の霊廟である美しいタージ・マハルを見て晩年を過ごしたといいます。

ちなみに、アウラングゼーブを含めて争いを起こした息子たちは、皆、ムムターズ・マハルとの間の子どもです。

未完成の黒いタージ・マハル

シャー・ジャハーン帝は、ヤムナー川をはさんだ対岸に、黒大理石で自分の霊廟を作るとともに2つの霊廟の間を橋で結ぶことを計画していたようです。これも左右対称、シンメトリーの一環かもしれません。しかし、資金的にも厳しかったでしょうし、幽閉の身ですからそれはできず…。アーグラ城の囚われの塔からどのような思いでタージ・マハルを見ていたのでしょう。

計画地は、現在、マターブ・バーグという庭園になっています。夕日に染まるタージ・マハルが見えることで知られています。

タージ・マハル百景

タージ・マハルへ行こう!

満月の夜のタージ・マハル

通常は、日の出30分前から日没30分前までが営業時間ですが、満月とその前後2日間の合計5日間は、夜間開館が行われているようです。満月が基準ですから毎月1回のようですね。詳しくは下記をご参照ください。

https://www.tajmahal.gov.in/nightview.html

私は夜のタージ・マハルは見られなかったので、次回、機会があればぜひみてみたいと思います。

タージ・マハルの入場料

私が訪れた時は、外国人は1,000ルピーだったのですが、最近値上がりしたようで、ホームページを見ると1,100ルピーです。ちなみにインド人は50ルピーですから22倍ですね。

外国人料金の場合、ペットボトルの水とシューズ・カバーをもらえます。また、比較的きれいなトイレが使えます。あと優先入場があるという話もあります。

料金の中にガイド料が入っていると言ってくるのがいましたが、これはちょっと眉唾。嘘じゃないかと思います。

厳しいセキュリティ・チェック

セキュリティ・チェックはとても厳重でした。

携帯とかカメラは大丈夫ですが、飲食物はもちろんダメ。私はカバンの中にあった電子辞書、小さい懐中電灯、メモ帳が引っ掛かりました(ペン類などもダメらしいです。これはわかっていたので持っていきませんでした)。ダメと言われたらそれまでなので、預けることにしましたが、私が行った南門にはコインロッカーはありませんでした。しかし、近くの土産物屋さんで無料で預かってくれると教えてもらいました。「ミルダケ、タダ。チョット、ミテ、ミテ」攻勢はありましたが、確かに無料で預かってもらえました。

タージ・マハルへのアクセス・行き方

アーグラには二つの大きな駅があります。アーグラ・カント(Agra Cantt)駅とアーグラ・フォート(Agra Fort)駅です。メインの中央駅的な機能を果たしているのはアーグラ・カント駅で、タージ・マハルまではおよそ6kmです。アーグラ・フォート駅からだと約4kmです。

入り口は、南門、東門、西門の3か所があります。

東門と西門は横から入るような形になりますが、南門から入るとイメージどおりのタージ・マハルを見ることができます。ただし、南門はごちゃごちゃした土産物屋さんとかいっぱい並んでいる参道を通っていきますので、抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。東門は駐車場があり団体バスで来られた観光客が多く使うところのようです。チケット売り場が離れているらしいです。西門は大通りから門扉を通過し歩行者専用道路みたいなところを通っていきます。

ひとこと

ぜひ見たいと思っていたタージ・マハル。念願がかないました。近くで見るとその大きさに圧倒されますし、大理石の美しさ、象嵌の素晴らしさに素晴らしいものです。行ってよかったです。

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info

タージ・マハル/Taj Mahal

  • 訪問日 : 2018年1月14日
  • 所在地 : インド・アーグラ(Dharmapuri, Forest Colony, Tajganj, Agra, Uttar Pradesh 282001)
  • アクセス :アーグラ・カント駅からおよそ6km、アーグラ・フォート駅からおよそ4km
  • 登録年 : 1983年
  • 登録区分 : 文化遺産
  • 開 館 : -
  • 入館者数 :700~800万人
  • 入場料 : 1,100ルピー(大人・個人・当日・外国人) ※インド人の入場料は50ルピー。また、SAARC(南アジア地域協力連合国)やBIMSTEC(環ベンガル湾多分野経済技術協力)の国の市民は540ルピーのようです。
  • 開館時間 : 日の出30分前から日没30分前まで
  • 休館日 : 金曜日
  • 公式サイトなど https://www.tajmahal.gov.in
  • ユネスコ世界遺産センターURL : https://whc.unesco.org/en/list/252/

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