ムンバイのヴィクトリア朝とアール・デコの遺産群 – インドの伝統も加味された19世紀と20世紀の建築様式が見られる世界遺産

ムンバイ大学の時計塔

ムンバイのヴィクトリア朝とアール・デコの遺産群/Victorian Gothic and Art Deco Ensembles of Mumbai:概要、歴史、立地、感想など

2018年に登録されたばかりの「ムンバイのヴィクトリア朝とアール・デコの遺産群」。インドがイギリスの植民地だった時代の19世紀と20世紀の建物が世界遺産(文化遺産)に登録されています。

 

ムンバイの歴史

ムンバイは、1534年にポルトガル領になり、その後1661年にイギリス領となりました。1668年に東インド会社の拠点が置かれ、ムンバイの本格的な発展がはじまります。もともと7つの島からなっていましたが、町の拡大に伴い埋め立てが行われ、島は陸続きとなりました。

ポルトガル人が「ボンベイ」と呼び始めましたが、1995年からポルトガル人が入植する前の名前「ムンバイ」に改められました。「ムンバイ」は漁師たちが信仰していたヒンドゥー教の女神「ムンバーデーヴィー(異名はムンバ)」の名前に由来するようです。

イギリスの植民地時代から発展してきたムンバイですが、現在、インドの商業、金融、貿易の中心地で、映画産業や工業も盛んな活気あふれる都市です。人口は優に1千万人を超えるインド最大級の都市です。

イギリスが砦を築いたことからフォート地区と呼ばれる地域に「チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス(CTS)駅」があり、こちらもインドの伝統も取り入れたヴィクトリア朝のゴシック建築として単独で別に世界遺産に登録されています。

チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅(旧ヴィクトリア・ターミナス駅)

チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅(旧ヴィクトリア・ターミナス駅) – 美しく活気があるインドの世界遺産の駅舎
かつてはヴィクトリア・ターミナス駅と呼ばれたチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅は、古くから発展してきたフォート地区にあり、2004年に登録された世界遺産(文化遺産)です。現在も現役の駅でインド最大の乗降客数を誇ります。概要や歴史、立地、感想などを紹介します。

「ムンバイのヴィクトリア朝とアール・デコの遺産群」の概要

イギリスは1857~59年のインド大反乱の鎮圧後、インドの支配をさらに強化します。また、1869年にスエズ運河が開通したこともあり、ムンバイは貿易拠点としての重要性が増します。こうしたことを背景に、19世紀後半から野心的な都市計画が推進され、現在、クリケット場や公園になっている「オーバル・マイダン(Oval Maidan)」が設けられ、その東側には19世紀に建築されたヴィクトリア朝ゴシック建築群があり、西側やアラビア海に面しているマリーン・ドライブ沿いには20世紀に建築されたアール・デコの建築群があります。

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ヴィクトリア朝ゴシック建築群

インドの気候風土の特性にあった要素も取り入れたヴィクトリア朝ゴシック建築群で主に公共建築物から構成されています。

【主な構成遺産】

●ムンバイ高等裁判所 ●ムンバイ大学 ●官庁 ●ナショナル・ギャラリー・モダン・ミュージアム(NGMA) ●エルフィン・ストーン・カレッジ ●デビッド・サソーン・ライブラリー ●チャトラパティ・シヴァーシー・マハーラージ・ヴァッツ・サングラハラヤ(旧プリンス・オブ・ウェールズ博物館) ●ウェスタン・レイルウェイズ本社 など

アール・デコの建築群

オーバル・マイダン(Oval Maidan)の西側にもアール・デコの建物がありますが、アラビア海に面している「女王のネックレス」とも呼ばれる美しい景観のマリン・ドライブ沿いに数多くのアール・デコの建築群が立ち並んでいます。

アール・デコを昇華させていることからインド・デコとも呼ばれる建物は、その数200を優に超えるといわれ、主に集合住宅ですが、クリケット・クラブや映画館なども含まれています。1930年代から50年代に建築されたものが多いようです。

非営利団体が保存・啓発活動を行っていてリストも見ることができます。

オーバル・マイダン(Oval Maidan)の立地

ヴィクトリア朝とアール・デコの建物の中心的な場所にあるオーバル・マイダンは、インド門の北西にあり、歩いて10分ぐらいです。

ひとこと

この世界遺産を訪れたのはまだ登録前のことで、ムンバイの街を歩いているとずいぶん植民地時代の建物(ヴィクトリア朝ゴシック建築)が多いなと思っていたのですが、やはり世界遺産に登録されたのですね。

マリーン・ドライブは、空港からホテルに向かう途中に送迎タクシーから少し見た程度でしたが、深夜にもかかわらず多くの人がウロウロしていたのが印象に残っています。

info

ムンバイのヴィクトリア朝とアール・デコの遺産群/Victorian Gothic and Art Deco Ensembles of Mumbai

  • 訪問日 : 2018年1月10日、11日
  • 所在地 : インド・ムンバイ
  • アクセス : 日本(東京)からムンバイまでは直行便で10時間ぐらい。空港から市内まではタクシーなど車で1~2時間(渋滞状況よります)
  • 登録年 : 2018年
  • 登録区分 : 文化遺産
  • 開 館 : -
  • 入館者数 :-
  • 入場料 : -
  • 開館時間 : -
  • 休館日 : -
  • ユネスコ世界遺産センターURL : https://whc.unesco.org/en/list/1480/

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