ひめゆり平和祈念資料館 - 戦争の悲惨さを知り、平和や命の大切さを教えてくれる資料館

ひめゆり平和祈念資料館:設立趣旨、歴史、展示、感想など

学徒動員されたひめゆり学徒隊が体験した沖縄戦・戦争の恐ろしさ、悲惨さを知り、学び、平和の大切さを考える場となっている平和資料館です。次代へと語り継ぐ場として大きな役割を担っています。

 

ひめゆりの塔

ひめゆり平和祈念資料館の前には、「ひめゆりの塔」があります。

この塔は、ひめゆり学徒隊が配属された伊原第3外科が置かれたガマ(洞窟)の入り口に建立されています。塔は小さなもので、慰霊碑と間違えてしまいがちですが、しっかりと向き合いたいと思います。

ひめゆり平和祈念資料館設立趣旨

ホームページから1989年の開館に際し書かれた設立の趣旨を引用します。

あれから40年以上たちましたが、戦場の惨状は、私たちの脳裏を離れません。私たちに何の疑念も抱かせず、むしろ積極的に戦場に向かわせたあの時代の教育の恐ろしさを忘れていません。
戦争を知らない世代が人口の過半数を超え、未だ紛争の絶えない国内・国際情勢を思うにつけ、私たちは一人ひとりの体験した戦争の恐ろしさを語り継いでいく必要があると痛感せざるをえません。
平和であることの大切さを訴え続けることこそ亡くなった学友・教師の鎮魂と信じ、私たちはこの地にひめゆり平和祈念資料館を建設いたしました。

ひめゆり学徒隊とは

ひめゆり学徒隊とは、アジア・太平洋戦争(第二次世界大戦)に学徒動員された沖縄師範学校女子部・沖縄県立第一高等女学校の生徒や教師による部隊のことです。生徒222人と教師18人のひめゆり学徒隊は、連合軍(実質、米軍)の沖縄本島上陸がはじまる直前の1945年3月23日に、看護要員として那覇市の南東5キロにある南風原(はえばる)の沖縄陸軍病院に配属されました。

動員された240人中136人が陸軍病院関係でお亡くなりになり、在地部隊その他で90人がお亡くなりになっています。

名前の「ひめゆり」の由来ですが、花の名前の「ひめゆり」ではなく、沖縄県立第一高等女学校の学校広報誌の名前「乙」と沖縄師範学校女子部の学校広報誌の名前「白百合」をあわせて「姫百合(ひめゆり)」となったそうです。

ひめゆり平和祈念資料館の歴史

ひめゆり学徒の鎮魂のため、最大の犠牲を出した伊原第三外科壕跡のガマ(沖縄方言で「洞窟」の意)に「ひめゆりの塔」が1946年に建立されました。

1948年には同窓会が再結成され1960年には財団法人化されています。

そして、1982年には同窓会がひめゆり学徒隊に関する資料を保管・展示し、戦争の悲惨さを後世に伝えるため「ひめゆり記念館」の建設を決定し、1989年6月23日、沖縄の慰霊の日に「ひめゆり平和祈念資料館」が開館しました。6月23日は、沖縄での日本軍による組織的な戦闘が終結した日であることから慰霊の日となっています。記念館の建物は、かつての校舎を模しているそうです。

2004年には、語り部の高齢化、戦争体験者が年々少なくなっていく状況を踏まえ、次代へ伝えていくために、証言映像を活用するなど全面的な展示の改装が行われています。

ひめゆり平和祈念資料館の展示

ぜひ実際に訪れて展示を見ていただきたいと思います。

どの展示もとても重いもので心に迫ってくる展示ですが、私が特に印象に残ったのは、動員された生徒・教員の一人ひとりをポートレイト写真と文章で紹介している展示、伊原第三外科のガマを下から見上げた再現展示、証言の展示の3つの展示です。一人ひとりの人生の重さ、証言の重さを考え感じます。

※展示室内は写真撮影ができないので写真がありません。

南部戦跡と沖縄県平和祈念資料館

ひめゆり学徒隊は、同窓会の活動の成果や映画などにもなっていることなどにより、とても著名ですが、沖縄では他にも多くの学徒隊が動員されており、同様に壮絶な戦争体験をしています。このことも忘れてはいけないことです。沖縄本島の南部、南部戦跡と呼ばれる地域は激しい戦闘の地で多くの尊い命が犠牲になっていることから、学徒隊をはじめ戦争で亡くなった人々の慰霊の碑や塔が数多くあります。また、ひめゆり平和祈念資料館から車で数分の場所に沖縄平和祈念公園があり沖縄県平和祈念資料館平和の礎もあります。こちらもぜひ訪れるべき資料館だと思います。

映画の中のひめゆり学徒隊

ひめゆり学徒隊は、たびたび映画になっています。現実と映画では異なることもあると思いますが、映画を見ることもひめゆり学徒隊を知るための方法だと思います。

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■津島恵子、香川京子が出演している1952年の作品


ひめゆりの塔 [DVD] *販売:Amazon

下記の3作品はAmazon Prime Videoで、比較的低料金で見ることができます(216円~400円。料金は変更される場合もあります。要会員登録)。

■吉永小百合、 浜田光夫、和泉雅子が出演している1968年の作品

あゝひめゆりの塔

■栗原小巻、篠田三郎、田村高廣が出演している1982年の作品

ひめゆりの塔(1982)

■沢口靖子、後藤久美子、中江有里が出演している1995年の作品

ひめゆりの塔(1995)

他にも映画化されていますし、テレビドラマにもなっています。

なお、私が見た狭い範囲ですが、「GAMA 月桃の花」という沖縄戦を描いた1996年の映画があります。残念ながらDVDなどにはなっていないようですが、とても迫ってくるものがあります。機会があったらご覧になってもいいと思います。

場所・マップ

info

ひめゆり平和祈念資料館
・訪問日:2018年7月
・設 置:沖縄県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団
・管理運営:沖縄県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団
・所在地:沖縄県糸満市伊原671-1
・アクセス:那覇空港から車で約30分
・開 館:1989年6月23日
・面 積:約1,150㎡
・入館者数:613,218人(有料579,865人+無料33,353人。2016年度)
・入館料:大人310円、高校生210円、小・中学生110円。団体割引など各種割引制度あり
・開館時間:9時~17時30分(17時?)
・休館日:年中無休
・公式サイト等 : http://www.himeyuri.or.jp/JP/top.html