那覇市歴史博物館 - 商業ビル内にある国宝がいっぱいの博物館

那覇市歴史博物館:歴史、概要、見どころ、感想、行き方など

パレットくもじという商業ビルの4階にある市立の歴史博物館です。琉球王家である尚家関連の国宝が数多く展示されています。

なお、私の勘違いかもしれないのですが、内部の写真撮影は禁止のようでした。

那覇市歴史博物館の歴史

那覇市歴史博物館の歴史は意外に新しく、市制85周年記念して2006年7月8日、「なは」の日に開館したそうです。壺屋焼焼物館よりも新しいのですね。

那覇市歴史博物館の立地と行き方

国際通りの入り口にある商業ビルの「パレットくもじ」。このビルの4階に博物館はあります。独立した建物ではないことが、またちょっと意外でした。以前は百貨店内に博物館や美術館が、客寄せもあっていっぱいありましたが、現在ではあまりみかけません。他から借りてきて国宝や重要文化財を展示・公開するのに必須ともいえる「公開承認施設」になっているか調べてみたのですが、やはり公開承認施設にはなっていないようです。

  • 公開承認施設:国宝・重要文化財の所有者以外が、借用などにより展示・公開しようとする場合、文化庁長官の許可が必要ですが、あらかじめ文化庁長官の承認を受けた施設であれば公開後の届出で良いことになっています。公開承認施設になるためには、文化財を保護する観点から施設の設備の基準などがあり、一般的に百貨店などではクリアするのが難しいといわれています。
  • 参考:文化庁による公開承認施設紹介パンフレット(http://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shoninshisetsu/pdf/pamphlet.pdf

交通アクセスは、とても良い場所です。国際通りの入り口ですし、モノレールだと「県庁前」から徒歩数分です。

テーマは「王朝文化と都市(まち)の歴史」

琉球王国の首都だった那覇にある歴史博物館ですから、そこにスポットがあてた展示が行われています。考古・通史をまんべんなく、という構成でもなく、また歴史博物館で良く見られる民俗系の展示もありません。展示室の狭さもあってそうなっているのかもしれませんし、戦災で資料が失われたとか商業ビルのなかにあるという特性のためかもしれません。

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国宝がいっぱいの展示

国宝に指定されている、琉球王家の尚家に関する美術工芸品や文書が数多く所蔵されているためか、数多くの国宝が展示されています。ここにもあそこにもという感じで、驚きました。

ただそうした国宝にも指定されている貴重な資料の展示方法が少し趣がないというか無造作というか、重厚さが欠けているような気がしました。資料の保存という観点も含めて、もう少しケースや照明を工夫した方がいいと感じたのが正直なところです。また、そうした貴重で重要な資料自体の価値や意味するところをわかりやすく紹介することが十分ではないような気がしました。もう少し情報機器を活用したり映像を活用するとよりわかりやすい展示になるのではないでしょうか。

展示資料が充実している反面で、多彩な展示手法には欠ける

この資料館の魅力は、素晴らしい実物資料に出会えることしょう。その反面、ハンズオン展示、体験展示、模型・造形、映像などの多彩な展示手法を駆使しているような展示ではありません。資料が充実しているので、実物展示以外に頼る必要がないのだと思います。その意味では博物館の王道を行く展示で高く評価できると思います。

一方で、一般的な来館者には面白味に欠けてしまいます。子どもや観光客など誰もが楽しみながら那覇の歴史や文化にふれ、知り、学び、親しむことできるようにするため、実物展示以外の展示手法をもう少し導入した方が良いと思います。そうすることでインスタをはじめとするSNSにどんどん情報をアップしてもらいやすくなり、より多くの人に来館してもらうことにつながるでしょう。

史跡や文化財ネットワークの拠点になってほしい

この博物館には、那覇市の歴史・文化を学ぶための拠点としての役割があると思います。そうした観点からも誰もが親しみやすい展示を行うことが必須です。もちろんそれは展示だけではなく教育普及プログラムにも関わることでしょうし、県立博物館との役割分担や連携も必要でしょう。いずれにせよ、市内や県内に広がる史跡や文化財をつなぐネットワークの拠点として機能することで、那覇市の歴史・文化を守り次代へ継承していくとともに、市内の回遊や観光促進にもつながるのではないでしょうか。

いつも何かに出会える企画展

年間に5~6回もの企画展が開かれています。このため、いつ行っても何か新しい展示に出会うことができます。資料保護や所蔵資料の有効活用などが考えられてのことだと思いますが、学芸員の方の負担も大きいに違いありません。せっかくの企画展で、いろいろ刺激的な内容もありますから積極的に観覧したいものです。

教育普及プログラムは?

教育普及プログラムもあるのでしょうが、何が行われているのかわかりませんでした。ウエブサイトにも教育普及プログラム的なページがないようです。

いうまでもなく教育普及プログラムは非常に重要なものですから、ぜひ積極的にPRして那覇市の歴史・文化への理解を深めてもらうことが大切かと思います。

info

那覇市歴史博物館
・訪問日:2018年7月
・設 置:那覇市
・管理運営:那覇市
・所在地:沖縄県那覇市久茂地1-1-1 パレットくもじ4F
・アクセス:モノレール「県庁前駅」から徒歩3~5分
・開 館:2006年7月8日(「なは」の日)
・面 積:825㎡
・入館者数:1.7万人(2013年度)
・入館料:大人350円、大学生以下無料。団体割引など各種割引制度あり
・開館時間:10時~19時
・休館日:木曜日(休日を除く)、年末年始等
・公式サイト等 : http://www.rekishi-archive.city.naha.okinawa.jp/