レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」 - ミラノで絶対に見たい奇跡の作品

レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」(登録正式名称:レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院)/Church and Dominican Convent of Santa Maria delle Grazie with “The Last Supper” by Leonardo da Vinci:概要、歴史、見どころ、アクセス・行き方、予約方法、感想など

あまりにも有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。完全予約制ですが、ミラノに行ったらぜひ見たい奇跡の絵です。サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会にあります。

 

サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会

サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会は、ミラノ公フランチェスコ・スフォルツァ(スフォルツァ家初代のミラノ公)の命により建設され、1469年にゴシック様式の教会として完成しました。この教会建設以前にも、この地には聖母マリアへ捧げられたチャペルがあったようです。

この教会は、その後、スフォルツァ家の墓所とすることになり増改築され、ルネサンス様式が取り入れられ1490年ごろ完成したようです。

カトリック教会として現在も活動しています。

「最後の晩餐」の概要

この教会にある「最後の晩餐」は、ミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァの依頼でレオナルド・ダ・ヴィンチが1495年から1498年(1497年?)にかけて、食堂の壁画として描いたものです。

絵のモチーフは、聖書の福音書に記述されている、その名の通り、キリストが弟子たちとする最後の食事の情景です。キリストがこの中に裏切者がいると告げ、弟子たちが動揺している様子が描かれています。

サイズは4.2m × 9.1mと巨大なもの。製作技法は、壁画で一般的なフレスコ画ではなくテンペラ画に似た手法だそうです。テンペラ画はフレスコ画に比べて色の自由度が高いものの温湿度の変化に弱いため、壁画には向かないとされています。ダ・ヴィンチは表現を優先させたのでしょうね。

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「最後の晩餐」の歴史

1498年(ユネスコの世界遺産のページでは読み間違いでなければ1497年)に完成した「最後の晩餐」ですが、その歴史を見ると、500年以上もたった今日でも見ることができるのは奇跡的というしかないような気がします。

食べ物の湿気や湯気などで湿度が高く変化しやすい食堂にあったとともに、テンペラ画の特性のため、完成後数年足らずで、顔料が剥落しはじめたといいます。

16~19世紀には大規模な修復が5回ほど行われているようですが、修復が逆効果になってしまったり、補筆によってダ・ヴィンチのオリジナルがわからなくなるようなこともあったようです。17世紀には扉を設けるために絵の一部が切り取られてしまうとか、ナポレオン時代には食堂ではなく馬小屋として使われたとか…。馬小屋になったら排泄物の影響も受けるでしょうし、かなり劣悪な環境であることは間違いありません。

洪水で水浸しになるようなこともあったようですが、極めつけは、第2次世界大戦のこと。空爆を受け屋根がなくなり半ば雨ざらし状態だったとか。土嚢などで保護はされていたようですが、その後も3年間は屋根のない状態だったそうです。空襲を受けた時の写真を見たことがありますが、ほんとにひどい状態。

1977年からは本格的な修復(洗浄)が行われ、20年以上の時間をかけて1999年に完成。この修復のおかげで、ダ・ヴィンチ以降の加筆などが取り除かれ、退色などはあるでしょうが、オリジナルの色や線を見ることができます。

世界遺産に登録されたのは1980年のことです。

完全予約の見学

「最後の晩餐」を見学するには、予約が必要で、予約用の公式サイトを通じて行えます。イタリア語のページだけではなく、英語のページもあります。決して難しい英語ではないので、インターネットでの予約に慣れている人ならなんとかなると思います。

電話予約もあるようです。こちらも簡単な英語で対応してくれるようです。

(+39)02 92800360

また、英語はちょっと…という場合、日本語対応のある旅行代理店を通じて予約するのもいい手かもしれません。旅行代理店だと公式予約サイトでいっぱいでも取れる場合があるらしいです。

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私はうまくネットで予約できたのですが、「最後の晩餐」の予約は、予想どおり、人気がものすごく高く予約がすぐに埋まってしまいます。ただ、正確なことはわからないのですが、直前になりキャンセルがでることもあるのか、予約でふさがっていたはずの日でも後日もう一度見ると空きがあったりすることもあったり、ダメ元で電話で聞いたら予約が取れたという話もあるようです。

いよいよ「最後の晩餐」に対面

「最後の晩餐」を見るのには、教会の正面から入るのではありません。まずは別の建物に行きチケットを引き換えます。私はそこに行くのにちょっと迷ってしまいました。舞い上がっていたのかもしれません。チケットを引き換えた後は、指定時間に教会の脇にある集合場所へ行きます。

見学はグループ単位。1グループは15名とか25名ぐらいだと思います。時間は15分。

集合後、移動しますが、グループ全員が一つの部屋に入ったら、次の部屋の扉が開くというかたちで、前室を二つ通り抜けます。外気の直接侵入を避け、調温・調湿のためです。もちろん鳥や虫など遺物の侵入防止でもあります。

そして、「最後の晩餐」との対面です。

湿度が調整されすこししっとり感じる空間で、照度は落とされうすぼんやりとした光に「最後の晩餐」が浮かびます。思ったよりも大きく、思ったよりも淡い絵でした。言葉にならないほどの感動・感激です。

「最後の晩餐」の反対側の壁にも、1495年に描かれた「キリストの磔刑」というジョヴァンニ・ドナート・モントルファーノという人のフレスコ画があります。こちらもとても素晴らしい作品でした。

ジョヴァンニ・ドナート・モントルファーノ「キリストの磔刑」

あっという間の15分でした。

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サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会へのアクセス・行き方

地下鉄1号線のコンチリアツィオーネ(Conciliazione)駅から歩いて4分です。トラム(路面電車)だと16番線のサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ(S. Maria Delle Grazie)停留所で降りてすぐ目の前です。

ひとこと

見られてほんとうに良かったです。「最後の晩餐」の画像を見る機会は少なくないと思いますが、やはり本物の持つ迫力、素晴らしさは言葉では言い表せません。「最後の晩餐」を体感できたのはほんとうに貴重な体験でした。

ちなみに、私は、「最後の晩餐」はどこかの有名な大きい美術館にあるものだと思い込んでいて、ミラノの、しかも教会にあるとはまったく知らなかったのです…。「最後の晩餐」を見るためにミラノを訪れても良いぐらい。いつかまた見に行きたいと思います。

info

Church and Dominican Convent of Santa Maria delle Grazie with “The Last Supper” by Leonardo da Vinci

  • 訪問日 : 2017年12月22日
  • 所在地 : イタリア・ミラノ(Piazza Santa Maria delle Grazie, 2)
  • アクセス : トラム(路面電車)16番線のS. Maria Delle Grazie駅すぐ目の前。地下鉄1号線Conciliazione駅から徒歩4分
  • 登録年 : 1980年
  • 登録区分 : 文化遺産
  • 開 館 : -
  • 入館者数 : -
  • 拝観料 : 10ユーロ+予約料2ユーロ ※各種割引制度あり。教会は拝観料不要
  • 開館時間 : 8時15分から19時。※教会は別途ご確認ください
  • 休館日 :月曜日、1/1、5/1、12/25 ※教会は別途ご確認ください
  • サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会http://legraziemilano.it/
  • ユネスコ世界遺産センターURL : http://whc.unesco.org/en/list/93

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