レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館 - 技術遺産の展示も充実していて大人も楽しい科学技術館

レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館/Museo Nazionale Scienza e Tecnologia Leonald Da Vinci:見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想、最新情報など

レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館は、歴史的な技術遺産から最先端の科学まで楽しく知り学べるミラノにあるイタリア随一の科学技術館です。

 

科学技術博物館の概要

ミッション

この科学技術博物館は、調査研究や収集保存はもとより教育を重視しながら、科学的な事象への理解やそれらの実用的な応用・技術などを理解できる場を目指しています。

そのため、格式張らない(堅苦しくない)教育的なアプローチを基本に、ワークショップ体験や展示体験などでの発見と探検を重視しています。また、来館者自身が持つ知識や能力の活用を促進し、展示物や科学的な事象を理解してもらうとともに主体的に学んでもらうことを目標としているようです。

歴史・沿革

レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館は、レオナルド・ダ・ヴィンチの生誕500周年を記念して、1953年2月15日に開館しました。

その構想は、1906年のミラノ万博があった年に、この館の創設者といわれるグィード・ウチェッリ(Guido Ucelli)が産業博物館の建設を提唱したのが始まりです。その後の動きは活発なものではなかったようですが、1930年代にミラノ市による委員会も立ち上がり構想は進展しはじめ、1940年代に具体的な計画が動き1942年に国立博物館のための財団が設立されました。1947年には建設地も決定し、改修の後、1953年に開館しました。

開館後も新たな展示や建屋が加わるなど充実が図られ続け、今日に至ります。

修道院を改築した本館

博物館がある建物は、もともとはベネディクト派の修道院だったところが16世紀にオリヴェト会の修道院になり、オリヴェト会により増改築が行われたものです。

ナポレオンの命により修道院は、1807年から1808年にかけて改修が行われ軍事病院となりました。その後、イタリア軍の宿舎になりましたが、1943年8月の空襲で大きな被害を受けてしまいました。それ以来、放置されたままで厳しい天候もあり危険でひどい状態になったようです。

そんな崩壊寸前の建物でしたが、1947年4月27日に、国立科学技術博物館を建設する旨の告示が掲示され、建物は生まれ変わりました。

現在、敷地面積が5万平方メートルもあるとても大きな科学技術館です。

過去から最先端までの幅広い科学と技術の展示

材料」「輸送」「エネルギー」「コミュニケーション」「レオナルド・ダ・ヴィンチ/芸術と科学」「新しいフロンティア」「子どものための科学」の7つの部門からなる博物館は、16,000点もの歴史的な科学技術遺産や4万冊の書籍、5万点の写真・フィルム・音声テープ類などを有しています。これらを活用して15の展示テーマと14のワークショップ空間、2つの図書室を展開しています。また、155もの教育普及プログラムが行われています。展示面積は25,000平方メートルです。

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充実の産業技術遺産の展示

科学技術の歴史をたどることができる展示から遺伝子工学や量子物理学など最先端科学の展示まで、幅広いテーマの科学と技術に関する展示が行われています。

特に、産業や技術の発達にかかわる遺産の展示が充実していて、特に重要で貴重なものは、“MUSEUM HIGHLIGHTS”として20ほどピックアップされ、チラシにまとめられています。日本語もありました。ホームページからもダウンロードできます。

一方で、ハンズオン展示・体験展示や科学原理・法則に関する展示は少なめの印象です。もっとも技術系の遺産展示のボリュームが多く目立たなかっただけかもしれませんし、ハンズオン的な展示などはi.labと名付けられた実験・ワークショップ空間で行うのかもしれません。

i.labは数学、遺伝子、栄養、生命工学、化学、電気などのテーマごとに設けられ全部で14室(館内には12~13)あります。年間4,000もの学校団体が来館するようですから、i.labでこうした子どもたちに実験などを通じて科学や技術を学んでもらっているのかもしれません。もちろん一般の家族向け・個人向けプログラムも行われています。

見どころのレオナルド・ダ・ヴィンチの模型

見ごたえがあったのは、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたスケッチを模型にした展示。130点あまりあります。これらは開館前の1952年から開館後の1956年にかけて科学的な考証なども踏まえて製作されたもの。造形的な美しさもあり、この博物館の大きな見どころであることは間違いないでしょう。かつてANAがロゴマークに使っていたヘリコプターの模型などきっとどこかで見たことがあるものがあると思います。

それにしてもダ・ヴィンチの活動の幅の広さには驚きます。

公式サイトでも模型を見ることができます。

鉄道、船舶、航空機は別館。こちらも充実!

本館の展示だけでも、ものすごい充実ぶりなのですが、鉄道、船舶、航空機は別館に展示されています。実機などが所狭しと並ぶところは圧巻です。鉄道の建物と船舶・航空機の建物の2つあります。

飛行機好きの私としては飛行機の展示はかなりワクワクで興奮してしまいました。

第2次世界大戦後初のイタリア建造の潜水艦S506エンリーコ・トーティ(Toti)が屋外に展示されています。この艦は1967年に進水し1997年まで地中海をパトロールしていたそうです。ガイド・ツアーなどで見学できるようです。

企画展示

本館内でも企画展示は行われていますが、企画展示用の別棟があります。そちらも修道会の建物だったところを改装したものです。私がお邪魔した時には、別棟での企画展は行われていないようでした。

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科学技術博物館へのアクセス・行き方

地下鉄2号線のサンタンブロージョ(S. Ambrogio)駅から歩いて約3分です。スフォルツェスコ城からも歩ける距離にあり12分ぐらいです。

入り口と出口が完全に別になっていますので、注意が必要です。入り口はVia San Vittore側にあります。私はなかなか入り口が見つけられずぐるぐると回ってしまいました。やっと見つけたところも出口だったりしました。

最新情報

レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500周年に合わせて、2019年に、レオナルド・ダ・ヴィンチのギャラリーが生まれ変わるようです。楽しみです。

2019年は没後500年ということですから、この館をはじめ、きっと各地でいろいろなイベントが行われるのでしょうね。

ひとこと

修道院を改装して博物館にしているので、本館はやや窮屈な感じがしてしまうところもあったのですが、展示内容の幅広さなども含めて本当に充実していて感動的でした。歴史的な技術遺産も数多く展示されているので、大人の方が楽しめるかもしれませんね。ワークショップ空間がテーマごとに複数あることにも驚きました。きっと理念を実現するために重視されているのでしょう。

info

Museo Nazionale Scienza e Tecnologia Leonald Da Vinci

  • 訪問日: 2017年12月22日
  • 開 館: 1953年2月15日
  • 入館者数: -
  • 所在地: イタリア・ミラノ(Via San Vittore 21, 20123 Milano)
  • アクセス: 地下鉄2号線S. Ambrogio駅から徒歩約3分
  • 入館料: 10ユーロ(大人・個人・当日) ※各種割引制度あり
  • 開館時間: 火-金 9時30分~17時、土・日・休日 9時30分~18時30分
  • 休館日: 月曜日、1/1、12/24・25
  • 公式サイト : http://www.museoscienza.org/

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訪問した日の旅行記です。