ロンドン科学博物館 - 科学原理から技術・産業遺産まで多彩に学ぶことができる科学技術の殿堂

ロンドン科学博物館/Science Museum:見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想、最新情報など

科学原理・法則をハンズオン展示やインタラクティブ展示で学んだり、科学・技術・産業の遺産展示があったり、多彩な角度から科学・技術にふれることができる科学館です。また、デザイン面でもとても工夫されています。

 

科学博物館の歴史・沿革

ロンドン科学博物館は、1857年にサウス・ケンジントン博物館(South Kensington Museum)という名前で、現在、ビクトリア&アルバート博物館がある場所に開館しました。敷地内には、特許事務所博物館(the Patent Office Museum)もあり、こちらには発明品や機械類が所蔵され、後にサウス・ケンジントン博物館に移管されます。

この館の誕生のきっかけになったのは、1851年のロンドン万博(The Great Exhibition)で、この万博の膨大な収益金(186,000ポンド)を生かしてサウス・ケンジントン博物館が建設されることになりました。

その後、収蔵品を増やしていったサウス・ケンジントン博物館ですが、1899年に「ビクトリア&アルバート博物館」という名前に変わりました。そして、1909年、科学・技術・工学に関する資料と美術・工芸に関する資料が分けられ、「科学博物館」と「ビクトリア&アルバート博物館」に分かれました。科学博物館とビクトリア&アルバート美術館は、いわば兄弟の関係といえるでしょう。

その後、科学博物館から1975年に国立鉄道博物館が、1983年に国立写真博物館(現在の国立メディア博物館)が分かれましたが、管理運営は同じ組織“Science Museum Group”が行っています。

科学博物館の見どころと展示

どこから何を紹介したら良いか悩んでしまうぐらい、展示が充実し中身が濃いミュージアムで、見どころがたっぷりです。また、デザインもとても素晴らしいです!

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5フロアーにもりだくさんの展示!

ロンドン科学博物館の展示は、科学(歴史・法則・原理)に関する展示と技術・産業遺産に関する展示の大きく二つに分けることができます。大型映像(IMAX)シアターもあります。

展示は地下1階から4階までの5フロアーにわかれています。

4階:航空、都市工学、シミュレーターなどの展示に加え、Wonderlabというインタラクティブ展示やサイエンスショーで科学や数学を体験するコーナーがあります。

3階:科学技術史、医学、時計、写真、大気・気候、エネルギー、数学、情報通信など幅広い展示があります。

2階:材料工学や人間・人体(Who am I?)の展示コーナー。現在、医薬に関する展示を制作中でクローズされている場所があります。2019年に公開のようです。

1階:蒸気機関など過去250年間の技術遺産に関する展示が目を引き、大きな見どころになっていると思います。宇宙や宇宙開発の展示、最先端科学の情報コーナー、小さな子どもたち(3-8歳)が図形・図像をハンズオンで体験できるコーナー、2017年11月にできたバクテリアや医療に関する展示などもあります。

地下1階:小さな子どもたち(3-6歳)がチルドレンズ・ミュージアムのような展示で水・光・音・建築などを体験的に学ぶことができるコーナーや家電の歴史の展示があります。

デザインが秀逸

実物展示にも面白いデザインがありますが、特に科学に関するインタラクティブ展示のコーナーなどは、照明デザインなども含めて空間デザインがとても秀逸だと感じました。

例えば、新国立競技場の建築デザインを行うはずだったザハ・ハディト氏が空間デザインを行った数学のコーナーはとてもユニークで目を引きます。気流の流れを視覚化してデザインに取り入れたとか。ベルヌーイの定理とか流体力学に関する公式が使われているのかもしれませんね。

チケットが必要な展示

入館料は無料ですが、ショー形式や定員制、あるいは有料のためにチケットが必要な展示があります。お目当ての展示がチケット制の場合は、先に確保した方が良いかもしれません。

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充実の教育普及活動・イベント

ガイド・ツアー、学校団体の受け入れ、科学を学ぶための教材や映像をネットなどで提供すること、教員へのレクチャー・研修、アウト・リーチ(出前授業)など大型館の定番的な教育普及プログラムは、もちろん行われていますが、いくつか興味深いものがありました。

Lates:毎月最終水曜日に行われている18時45分から22時までの夜間開館。毎月テーマが設定されているようで、何度参加しても楽しめるようになっています。2018年は10周年で、9月はBirthdayというテーマで大掛かりに行われるようです。

Astronights:7歳から11歳を対象にしたお泊りイベント。ワークショップ、サイエンス・ショー、アクティビティ、IMAX鑑賞など盛りだくさんのようです。参加費は60ポンド。保護者同伴。これからの開催予定は、2018年は10月6日と12月1日。2019年は1月18日、2月9日、3月8日、4月5日です。

Night Owls:16歳以上の若者を対象にした18時45分から22時30分までの夜間開館。通常の展示だけではなく、特別なワークショップや演示があるようです。年間何日間かの土曜日に開催されます。

Early Birds:15歳以下の子どもとその家族を対象とした通常よりも早い開館。大きな音などが苦手な子どもたちが楽しめるようにしているようです。朝8時からオープン。年間で何日間かの土曜日と日曜日に開催されます。

そのほかにも、ダンスなどのライブ・パフォーマンス、コンサート、パネル・ディスカッションなど大人向きなども含めて多彩なイベントやプログラムなどが組まれています。

科学博物館へのアクセス・行き方

最寄り駅は、地下鉄District線・Circle線・Piccadilly線のSouth Kensington駅で、歩いて5分ぐらいです。

近くには、自然史博物館やビクトリア&アルバート博物館があります。

最新情報

2017年の入館者数3,251,000人で、前年比プラス0.17%でほぼ前年並み。自然史博物館、ビクトリア&アルバート美術館に続いて、イギリスでは6番目の入館者数でした。

2018年10月6日から2019年5月6日の会期で、「太陽」に関する企画展が開かれます。Latesなどでも取り上げたりと教育普及プログラムとも連動するようです。

2019年には、医薬に関する展示コーナーがリニューアル・オープンします。楽しみですね。

ひとこと

ロンドン科学博物館は、期待以上に良かったです。デザインも素晴らしかったですし、インタラクティブ展示やハンズオン展示なども面白かったですが、産業革命ゆかりの品々をはじめ技術や産業に関する実物資料の展示が充実していてとても印象に残りました。飛行機好きの私としては、個人的には、特に、航空機のエンジンの数々に圧倒されました。

すぐ近くにある自然史博物館と合わせて、子どもたちと一緒に家族で1日を過ごすのにとても良い場所です。もちろん、科学史・技術史をはじめ、大人が楽しめる展示もたくさんあり、小さな子どもから大人までが楽しめるおススメの科学館です。

info

Science Museum

  • 訪問日: 2017年12月6日
  • 開 館: 1857年6月24日
  • 入館者数:3,251,000人(2017年)
  • 所在地: イギリス・ロンドン(Exhibition Road, South Kensington, London SW7 2DD)
  • アクセス: 地下鉄District線・Circle線・Piccadilly線のSouth Kensington駅から徒歩5分
  • 入館料: 無料 ※有料展示もあり
  • 開館時間: 10時から18時 ※学校の休み期間は19時まで
  • 休館日: 12/24-26
  • 公式サイト : https://www.sciencemuseum.org.uk/

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訪問した日の旅行記です。