カジュラーホの建造物群 - 官能的なミトゥナ像に装飾された世界遺産の寺院群

カジュラーホの建造物群

カジュラーホの建造物群/Khajuraho Group of Monuments:概要、歴史、見どころ、アクセス・行き方、感想など

「カジュラーホの建造物群」は、1986年に登録された世界遺産(文化遺産)で、10~13世紀のチャンデーラ王朝時代に建設された寺院群です。豊穣を祈願したものといわれるミトゥナ像(男女交合像)が寺院を装飾していることで有名です。

 

カジュラーホの概要・歴史

カジュラーホ(Khajuraho)は、デリーから南東におよそ620kmにあり、人口は約5000人弱です。

現在は、小さな村ですが、かつてはインド中北部を支配したチャンデーラ朝(チャンデッラ朝とも。Chandela dynasty)の都が置かれていました。チャンデーラ朝は10世紀から14世紀はじめまで続きました。この時代、特に10世紀後半から11世紀にかけて、世界遺産に登録されている多くの寺院が建設されました。

その後のカジュラホの歴史は定かではないのですが、偶像崇拝を禁ずるイスラム勢力の侵攻などもあり寺院の破壊も進み次第に廃れていったようです。イギリス統治時代の1838年にイギリス人エンジニアがこの寺院群を発見した時は鬱蒼としたジャングルになっていたそうです。

「カジュラーホの建造物群」の概要

ユネスコの世界遺産のサイトでは、「カジュラーホの建造物群」は以下のように紹介されています。

10~13世紀に全盛をきわめたチャンデーラ王朝の首都。都はのちにイスラム勢力によって破壊され、85あった寺院は今では22だけが残っている。高い尖塔をもつ壮麗なヒンドゥー教寺院群も健在である。各寺院の外壁は、おおらかな性愛表現を含む無数の彫刻で飾られ、北インド独特の建築様式を伝えている。

カジュラーホの寺院群が有名なのは、豊穣を祈願しているといわれるミトゥナ像(男女交合像)や美しく艶めかしいアプサラ像(天女像)が寺院の外壁に装飾されているためでしょう。

寺院群は、数も多く保存状態も良いヒンドゥー教の寺院で構成されている西群、3か所のジャイナ教寺院などがある東群、2か所のヒンドゥー教寺院がある南群の3つの寺院群から成り立っています。

なお、現存する寺院の数ですが、Wikiなどでは25となっています。

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西群寺院群(Western Group)

西群は比較的、保存状態が良い寺院が多く残っていて公園のように整備されています。入場料は500ルピーでした(東群や南群は入場料はありません)。

著名な寺院としては、チャンデーラ朝の寺院建築の全体像を示しているラクシュワナ寺院(954年建立)、神話上の生き物や女性たちの恋愛や日常を描いたレリーフが刻まれているヴィシュワナータ寺院(1002年建立)、カジュラーホで最大のカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院(11世紀半ば頃建立)などがあります。また、最も官能的なミトゥナ像が見られるのは、デーヴィー・ジャグダンペ寺院(11世紀初頭建立)といわれています。

史跡公園のすぐ隣には、マタンゲーシュワラ寺院(10世紀初頭)があり、現役のヒンドゥー教寺院として多くの参拝客が訪れています。

東群寺院群(Eastern Group)

ジャイナ教寺院を見ることができます。ジャイナ教は仏教と同じ頃、紀元前5~6世紀頃に開かれたインドの宗教で、開祖はバルダマーナ (マハービーラ ) 。非暴力や真理の多様性、輪廻、解脱、不殺生・真実語・不盗・不淫・無所有など禁欲的な教義を特徴としているようです。インド以外にはあまり普及していません。

ここで一番大きなパールシュバナータ寺院(10世紀半ば建立)では交合像も見られるようです。

なお、東群ではヒンドゥー教寺院も見ることができます。

南群寺院群(Southern Group)

ドゥラーデーオ寺院とチャトゥルプジャ寺院があります。チャンデーラ朝の最盛期が過ぎた後に建立された寺院らしく、西群の寺院に比べて簡素になっています。

他の寺院は東向きに建てられていますが、チャトゥルプジャ寺院は異なり西向きに建てられているのが特徴です。そのため、夕日の眺めが美しいそうです。

ここまでは少し遠いですが、田舎道をのんびりあるいてみるのも良いものです。

「カジュラーホの建造物群」へのアクセス・行き方

カジュラーホには鉄道、バス、飛行機などを使用していくことができます。鉄道の最寄り駅はカジュラーホ(Khajuraho)駅で、世界遺産がある村の中心部まではおよそ8kmです。空港からだとおよそ5kmです。

私は駅からオートリキシャを使いましたが100ルピーで交渉成立でした。

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ひとこと

豊穣を願う気持ちの表れのミトゥナ像は、かなり官能的でエロティックではあるものの、インドの太陽の下では、艶めかしさよりもどちらかというとおおらかと美しさを感じました。

村の中心部や西郡の寺院群を離れ、東群や南群の寺院を見るために歩きましたが、途中で古い村があったり田園があったりなどいつもと違う風景を見ることができました。そこには決して金銭的には豊かとはいえない世界がありましたが、ワラナシーやムンバイ、コルカタ、他の観光地などでは感じられないものがありました。

info

カジュラーホの建造物群/Khajuraho Group of Monuments

  • 訪問日 : 2018年1月15日、16日
  • 所在地 : インド・カジュラホ(西群の住所:Sevagram, Khajuraho, Madhya Pradesh 471606)
  • アクセス : カジュラーホ駅からおよそ8km、カジュラーホ空港からはおよそ5km
  • 登録年 : 1986年
  • 登録区分 : 文化遺産
  • 開 館 : -
  • 入館者数 : -
  • 入場料 : 西群入場料500ルピー(大人・個人・当日・外国人)
  • 開館時間 : -
  • 休館日 : -
  • 参考URLhttp://www.khajuraho.ind.in/
  • ユネスコ世界遺産センターURL : https://whc.unesco.org/en/list/240/

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