ルーブル美術館-人類の至宝を見られる入館者数世界一の美術館!

中庭にあるガラスのピラミッド。入り口は他にもありますが、せっかくならここから入館したいところです

ルーブル美術館/Musée du Louvre:見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想、最新情報など

ルーブル美術館はいまさら説明の必要もないほどの超有名な美術館。まさに「美術館の中の美術館」。パリへ観光で訪れたらきっと一度は行く人気スポットです。

 

ルーブル美術館の歴史・沿革

ルーブルの美術館としての開館は1793年ですが、ルーブルの歴史は1190年頃にフランス国王・フィリップ2世がパリを防御する目的で城壁(要塞)を築くことを命じたことに始まります。現在でもルーブルが城壁・要塞だった頃の遺構を地下1階で見ることができます。

建設当初は街はずれだったようですが、周辺はしだいに市街地化し、やがてルーブル城は国王が滞在するところになりました。一時はパリ以外の地に住むことが多かった歴代の国王ですが、1528年に国王の住居は原則として首都・パリとすることが宣言されました。こうしてルーブルは国王が住むにふさわしい場所に改装・増改築され、ルーブル宮殿が誕生しました。その後、国王が1682年にルイヴェルサイユ宮殿に移り住んだり、フランス革命や共和制への移行などがありましたが、ルーブル宮殿は1870年まで国家元首が住む場所として使用されました。

国王がヴェルサイユ宮殿に移った後、ルーブル宮は王室が収集してきた古代彫刻などの美術コレクションの収蔵、展示場所となりました。その後、1789年にフランス革命が起き、憲法制定国民議会で、ルーヴル宮を優れた国有の美術品を展示する美術館として使用することが決定され、1793年8月10日にルーブル美術館が正式に誕生しました。この時には537点の絵画と184点の美術品が展示されていたといいます。

ルーブル美術館の概要

中世の誕生以来、幾多の増改築が繰り返されてきたルーブル宮殿(ルーブル美術館)ですが、1874年までに、シュリー(Sully)翼リシュリュー(Richelieu)翼ドゥノン(Denon)翼の3つの部分から構成される、ほぼ現在のかたちになりした。建物は地上3階地下2階です。

各翼はルーブル宮やルーブル美術館の建設などに功績のあった人物の名前にちなんでいて、シュリーはアンリ4世(在位:1589年8月2日-1610年5月14日)のアドバイザー、リシュリューはルイ13世(在位:1610年5月14日-1643年5月14日)の臣下、ドゥノンは初代ルーブル美術館館長でした。

近年の大きな改修といえば、なんといっても1989年に完成した中庭のピラミッドでしょう。シンボル性と機能性を兼ね備えています。ルーブル美術館にはいくつか入り口がありますが、メインの中央入り口はピラミッド。ここからいったん地下2階のエントランス・ホールに降り、そこから各展示室に行くことができるようになっています。テーマパークなどでも採用されているプラザ方式といってもいいかもしれません。私は2度目のルーブル美術館訪問でしたが、前回訪れたのは30年も前。ちょうどピラミッドを建設している最中でした。今日こそルーブル宮殿=ルーブル美術館ですが、その時は宮殿全部が美術館ではなく財務省か何かもルーブル宮殿内の一部にあったような記憶があります。この1989年のピラミッドの建設や改修で展示面積は約2倍になったそうです。地下にエントランス・ホールを新たに設けたことで、人の流れがスムーズになり多くの入館者に対応できるようになった効果は大きいといえるでしょう(ピラミッドができる前に比べて、入館者数は2倍になっているそうです)。

1993年には、映画「ダ・ヴィンチ・コード」のエンディングに出てきた、あの逆さピラミッドも完成しました。本来は採光のためのようですが、今や「ダ・ヴィンチ・コード」のために人気スポットになっています。逆さピラミッドは、地下鉄パレ・ロワイヤル/ルーブル駅からルーブル美術館をつなぐ地下のショッピング・モール「カルーゼル・デュ・ルーヴル」にあります。

<広告>

ルーブル美術館のコレクションと見どころ

ルーブル美術館のコレクションは、「古代エジプト美術部門」「古代オリエント美術部門」「古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門」「イスラム美術部門」「彫刻部門」「工芸品部門」「絵画部門」「素描・版画部門」の8部門からなり、38万点以上を収蔵しています。そのうち、およそ35,000点が60,600平方メートル以上の常設展示室に展示されています。

なお、絵画などの西洋美術は2月革命が起こった1848年までをコレクションの対象とし、それ以降第1次世界大戦が勃発した1914年まではオルセー美術館が、1914年以降今日までをポンピドゥー・センター(国立近代美術館)がコレクションしています。

ところで、ルーブル美術館に、日本を含む「アジア美術部門」がないことにお気づきでしょうか?これは1945年にルーブル美術館とギメ東洋美術館の間の役割分担が整理された結果、アジア美術は、ギメ東洋美術館(国立です)がコレクションすることになったからです(ルーブル美術館所蔵のアジア美術をギメ東洋美術館へ移管し、逆にエジプトなどに関するコレクションがギメ東洋美術館からルーブル美術館に移管されました)。道理でルーブルにアジア美術がないはずです。

ちょっとゆっくり一通り見ようと思ったら数日はかかってしまう見どころだらけのルーブル美術館ですが、人気はやはり、「ミロのヴィーナス」「サモトラケのニケ」「モナ・リザ」のルーブルの三大貴婦人でしょう。特に、「モナ・リザ」は大人気。かつて盗難事件や損壊事件もあったので厳重に警備されています。前はもっと間近に見られたような気がするのですが、このような時代ですから致し方ないでしょうね。それにしても「モナ・リザ」がかつて日本に来たことがあるなんて。今では絶対に無理でしょうね。

そのほかにも「ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」 「民衆を導く自由の女神」なども人気です。

公式サイトに見どころを紹介した日本語のページがありますので、参考になるかもしれません。

https://www.louvre.fr/jp/routes/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%AB%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8%E3%81%AE%E5%82%91%E4%BD%9C/

公式サイトには「ダ・ヴィンチ・コード」をテーマにしたこんなコースも紹介されていました。きっと問い合わせがあったりと人気があるのでしょうね。

https://www.louvre.fr/jp/routes/%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89

<広告>

個人的には、ナポレオン3世のアパルトマンも豪華絢爛でなかなかの見どころだと思います。

見学に役立つツール

広大なルーブル美術館ですから、見たいものがある人もそうでない人も、館内で迷わないようにするとともに、理解を深めるためにうまくツールを使いこなすことが大切でしょう。

まずは、フロア・マップ。これは必須でしょう。13か国語版があり日本語もあります。ただちょっとわかりにくいかもしれません。そんな時に役立つのがスマホのルーブル美術館公式アプリ。館内には無料のWi-Fiも飛んでいますので、ナビ機能が使えると思います。もちろん日本語対応で展示の解説も充実しています。また、音声ガイド(マルチメディア・ガイド)も理解を深めるのに良いでしょう。ここのシステムはニンテンドーDSを利用していて音声だけではなく画像も見ることができます。忘れてならないのは、公式サイト。日本語も充実しています。

ツールというと語弊がありますが、パリの博物館や美術館の入館パスポート券「パリ・ミュージアム・パス」は持っているといいかもしれません。ミュージアム巡りをするならお得ですし、当日券購入の列をスキップできます。観光シーズンはかなり長蛇の列になるらしいのできっと役立つと思います。

世界のルーブル

2017年は810万人の入館者があったルーブル美術館ですが、2012年度はおよそ1,000万人だったそうです!そのうち外国人が占める割合はなんと69%(アメリカ15%、中国7%、ブラジル6%…)。7割が外国人という比率に驚かされます。実際、聞こえてくる言葉は、フランス語はあまりなかったですね。推測ですが2012年度よりも今は中国からの比率が高まっているのではないでしょうか?

一方でルーブル美術館はパリにとどまりません。2012年にフランス北部ランスに地域活性化もねらいルーブル・ランスが開館。2017年11月にはアラブ首長国連邦(UAE)にルーブル・アブダビが開館しました。こちらはルーブルの名前の使用料が30年間で4億ユーロ(1ユーロ130円換算で520億円)!作品の借用料が10年間で2億ユーロなど桁はずれです。そのほか世界各地の美術館にコレクションの貸し出しもかなり行われていて、貸し出し料収入も大きいようです。

ちなみに、ちょっと古い数字ですが、2012年度の収入は2億1,600万ユーロ(約280億円)。そのうち、国からの補助金(54%)が1億1,600万ユーロ、自主財源が1億ユーロ(チケット5,800万ユーロ、メセナ収入1,600万ユーロ、不動産運用収入1,500万ユーロなど)というすごい数値です。スタッフは学芸系スタッフが166人、監視案内1,200人など合計2,100人を超えていて、さらに常駐している外注スタッフもいます。さすが世界一。ほんとにすごすぎです。

<広告>

ルーブル美術館へのアクセス・行き方

地下鉄1・7号線のパレ・ロワイヤル/ミュゼ・デュ・ルーヴル(Palais-Royal Musée du Louvre)駅から歩いて2分です。ルーブル美術館にはいくつか入り口がありますが、この駅からだと地上のピラミッドを経由せずに、直接、地下のチケット売り場に行けます。個人的には、やはり地上のピラミッドの入り口から入りたいところですが、混雑していることも多いようです。

セーヌ川の斜め対岸にあるオルセー美術館までは徒歩12~13分、オランジュリー美術館まではチュイルリー庭園を経由して歩いて15分ぐらいです。

最新情報

2017年の入館者数は810万人 で、前年比プラス9.5%と入館者数が増えました。世界のミュージアムの堂々第1位です。

2018年1月のセーヌ川の増水のニュースは心配でした。セーヌ川に面しているルーブル美術館ですから、洪水になったら影響を受けます。実際、地下1階の展示などを移動させたのがニュースになっていました。当たり前ですが、普段から対応方法を決めておくことなどが文化財を守るうえで本当に大切だと感じます。

ニュースといえば、香取慎吾がルーブル美術館で個展を開催したというのがありました。ルーブルで個展?ちょっと驚いたのですが、正確には逆さピラミッドもある地下のショッピング・モールのところで行われたようです。会期は2018年9月19日から10月3日まで。日仏友好160周年を記念して開かれている「ジャポニスム 2018」の一環だそうです。

ひとこと

大満足のルーブル美術館でした。やはり素晴らしかったです。朝、開館と同時に入館し、昼ご飯抜きで夕方近くまで。一部、公開していないところがありましたが、かなりの駆け足でだいたいは見ることができました。また、いつか行きたいです。

映画好きの私としては、ルーブル美術館で忘れられないのは「ダ・ヴィンチ・コード」。ピラミッドや展示室が登場します。原作小説も映画も両方ともかなり楽しめました。ちなみに、映画のロケに際して250万ドル(1ドル110円換算で2億7,500万円)が支払われてたとか…。映画つながりでもう一つ。2017年公開の「ワンダーウーマン」の主人公ダイアナ=ワンダーウーマンは、ルーブル美術館の〇〇〇として映画の冒頭に登場します。こちらも楽しめました。こうした映画などを見ると思い出がよみがえったりしてなかなか良いです。

<広告>

info

Musée du Louvre

  • 訪問日: 2017年12月14日
  • 開 館: 1793年8月10日
  • 入館者数: 810万人 (2017年)
  • 所在地: フランス・パリ(Rue de Rivoli, 75001 Paris)
  • アクセス:地下鉄1・7号線のPalais-Royal Musée du Louvre駅から徒歩2分
  • 入館料: 17ユーロ(大人・個人・当日) ※各種割引制度あり <パリ・ミュージアム・パス対象施設>
  • 開館時間: 9時~18時、水・金は21時45分まで
  • 休館日: 火曜日、1/1、5/1、12/25
  • 公式サイト : https://www.louvre.fr/
  • 日本語サイトhttps://www.louvre.fr/jp/

【姉妹サイトの投稿記事】

訪問した日の旅行記です。