ギメ東洋美術館 -圧巻のヨーロッパ随一の東洋美術コレクション

ギメ東洋美術館/Musée Guimet:Musée national des Arts asiatiques-Guimet:見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想、最新情報など

ギメ東洋美術館は、日本での知名度は高くないですが、パリにあるヨーロッパ随一の東洋美術専門の国立美術館です。この美術館は、実業家のエミール・ギメによって設立され、後に国立になりました。

 

ギメ東洋美術館の歴史・沿革

ギメ東洋美術館は、リヨン出身の実業家エミール・ギメによって、リヨンに1879年に開館しましたが、10年後の1889年にパリに移転しました。

エミール・ギメは、1836年に化学者の父と画家の母の間に生まれ、父の事業を継承して化学工場を営み青色の人工染料の発明やアルミニウム生産などで成功をおさめました。

お金も時間もあるギメは世界を旅します。スペイン、北アフリカ、東ヨーロッパなどを旅し1865年から1866年にかけてエジプトに長期間の旅行をしています。この時にエジプトの遺物が収集されるとともに、スケッチが描かれ出版もされているようです。

そして、1876年にフィラデルフィア万博を見学した後、太平洋を越えて、ギメは開国してそう時間が経っていない、まさに明治維新期の日本、明治9年の日本を訪れました。8月に日本に到着し11月まで滞在したようですが、フランスの大臣が発給した宗教調査の命令書を持参した公務のかたちでの来日でした。僧侶や神官からの聞き取り調査も行ったようですが、通訳の問題や一神教のキリスト教との違いもあり、八百万の神など日本の宗教観は、ギメにとってはかなり難解だったようです。この時に廃仏毀釈の進む日本から仏像をはじめ数多くの美術工芸品をフランスに持ち帰りました。日本に続いて中国やインドも訪れ、1877年3月頃にフランスに帰国しました。

この旅には画家・イラストレーターのフィリックス・レガメが同行し、多くの絵やスケッチを残しています。レガメとはフィラデルフィアの万博で出会って日本への同行を頼んだようです。

翌1878年にパリで開かれた万博に旅から持ち帰ったものを出品しています。そして、1879年にリヨンに博物館を開設。ギメは当初、宗教博物館をつくりたいと考えていたようです。リヨンでは、何が原因か定かではないのですが、うまくいかなかったようで(集客が思わしくなかった?)、コレクションを政府に寄贈することやパリに移転することを決め、1889年11月20日にパリの美術館が開館しました。

その後、コレクターからの寄贈品やフランスが送ったアジアへの発掘調査隊からの収集品なども収蔵しコレクションは拡大していきました。なかでもカンボジアの遺物、クメール美術・アンコール美術についてはカンボジア以外では最も充実しているなど特徴あるコレクションが形成されています。

1928年に国立美術館に編入され、1945年にはルーブル美術館へエジプトなどに関するコレクションを移管する一方で、ルーブル美術館からは東洋部門のコレクションが移管されました。こうしてヨーロッパ随一、アジア以外では最大ともいわれる東洋美術コレクションが誕生しました。

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圧巻の東洋美術コレクション

45,000点以上のコレクションを収蔵しているそうですが、当初、宗教博物館が目論まれていたためか、仏教美術をはじめ宗教に関する美術品の展示が充実しています。アジア各地の仏教美術を比較し見比べられるのは、この美術館の大きな魅力、見どころでしょう。

常設展示は1階から4階まで、地下に企画展示室があります。

1階はインドと東南アジアの仏教美術、2階は古代中国、中央アジア、アフガニスタン・パキスタン、ヒマラヤ、インドの仏教美術などの美術工芸品、3階は中国、韓国、日本などの美術工芸品、4階は中国の美術工芸という構成で展示されています。

地下の企画展示室では、日本などの調査旅行とその後についての展示が行われていました。

日本の展示室

仏像もあるのですが、縄文土器や埴輪、絵巻、陶磁器、掛け軸、武具、印籠、櫛など幅広く展示されていて、とても充実しています。

ギメ東洋美術館には5,500平方メートルの本館のほかに、同じパリ市内にHôtel d’HeidelbachMusée d’Enneryという別館があります。Hôtel d’Heidelbachにはパンテオン・ブティック(仏教諸尊ギャラリー)がありギメが持ち帰った仏像など美術館初期のコレクションが見られたようですが、現在でも見られるかはわからないです(2015年にこれらの展示品は博物館本館にもどされたような記述を公式サイトに発見しましたが、フランス語の機械翻訳なので…)。また、ここには茶室のある日本庭園もあり、茶道体験のイベントも行われています。Hôtel d’Heidelbachは、本館からすぐ近くの同じ通りにありますが、この別館の存在を知ったのは日本に帰ってからで、残念ながら見落としてしまいました。

ユニークなプログラムがある教育普及活動

ガイド・ツアー、音声ガイド、ワークショップ、講座、コンサート、映画上映会、読書会、イベントなどが行われていますが、ワークショップには日本人の私からするとお茶会以外にも興味をひかれるものがあります。例えば、「風呂敷」のワークショップ。風呂敷による包み方を体験すると思うのですが、確かにいろいろな形状に対応できたり使わない時はコンパクトに畳め収納場所にも困りません。バッグより便利かもしれませんね。また、子どもたちに向けた「マンガ表現」のワークショップや「」が龍になる伝説や鯉のぼりのことも学びそうなワークショップも開かれます。

また、文学賞を授与しているのもユニークだと思います。アジア文学のためのエミール・ギメ賞で、2017年から始まった賞のようです。

この美術館では、設立以来、図書室が重視されています。図書室には開館当初の様子が見られます。この図書室では1905年にフランスで初めて日本の真宗による仏教のセレモニーが行われていますが、この時には、なんと伝説の女スパイ/マタ・ハリがブラマン様式のダンスを踊ったそうです。

開館当初の姿を伝えている図書室

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ギメ東洋美術館へのアクセス・行き方

地下鉄9号線のイエナ(Iéna)駅のすぐ目の前、徒歩1分です。6号線 のボワスィエール(Boissière)駅からだと歩いて4分ぐらいです。

ひとこと

日本ではあまり知られていない美術館かもしれません。何もパリにまで行って東洋美術を見なくてもと考える日本人が多いのか人気の美術館とはいえないかもしれません。でも、そこをあえて行ってみると、フランス人の東洋観が垣間見られたりもしますし、日本のことも考える機会にもなります。難しく考えないでも、単純に美しい仏教美術や美術工芸品を見ることができるのは素晴らしい体験だと思います。

ちなみに、行けなかったのですが、近くにパレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)という現代美術の展示スペースがあります。東洋つながりなのでしょうか。パリ市立近代美術館も同じ建物に入居しています。

info

Musée Guimet:Musée national des Arts asiatiques-Guimet

  • 訪問日: 2017年12月13日
  • 開 館: 1879年(パリに移転して開館したのは1889年11月20日)
  • 入館者数: -
  • 所在地: フランス・パリ(6, place d’Iéna 75116 Paris)
  • アクセス:地下鉄9号線のIéna駅から徒歩1分、6号線の Boissière駅から徒歩4分
  • 入館料: 11.5ユーロ(大人・個人・当日) ※各種割引制度あり
  • 開館時間: 10時~18時
  • 休館日: 火曜日、1/1、5/1、12/25
  • 公式サイト : http://www.guimet.fr/

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訪問した日の旅行記です。