ナショナル・ギャラリー・シンガポール - 2つの歴史的建造物を生かした巨大な美術館

ナショナル・ギャラリー・シンガポール

ナショナル・ギャラリー・シンガポール/National Gallery Singapore:見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想など

ナショナル・ギャラリー・シンガポールはシンガポール独立50周年の2015年に開館した国立美術館で、シンガポールや東南アジアの伝統的な美術から現代美術までコレクションしています。旧最高裁判所とシティ・ホールの2つの歴史的建造物を改装した建物自体も魅力の巨大な美術館です。

 

ナショナル・ギャラリー・シンガポールの歴史・沿革

ナショナル・ギャラリー・シンガポールの開館は2015年11月24日。まだできたばかりといってもいい美術館です。2015年は1965年8月9日に独立したシンガポールの独立50周年記念の年です。ちなみに当時のリー・クアンユー首相が独立宣言を行ったのは、現在、ナショナル・ギャラリーの一部となっているシティ・ホールです。

旧最高裁判所とシティ・ホールを活用してナショナル・ギャラリー・シンガポールを建設することが公表されたのは2005年8月21日で独立記念日に関連して行われる首相の演説の中のことでした。

2008年5月に建築設計者(フランスとシンガポールの設計会社)が決まり、2010年12月に建築施工者(竹中工務店とシンガポールの建築会社のJV)が決まりました。そして、2011年1月から改装工事がはじまりました。オープンまでは、構想発表から約10年、着工から約5年です。

建物の概要

ナショナル・ギャラリー・シンガポールは、旧最高裁判所とシティ・ホール(役所の庁舎)の2つの歴史的建造物を改装しています。シティ・ホールは1929年、旧裁判所は1939年に完成した建物です。

2つの建物の間には、巨大なアトリウム空間があり、1階部分で行き来できるだけではなく空中に渡り廊下が設けられ2つの建物がつながっています。

面積は64,000平方メートル。改装費用は5億3,200万シンガポール・ドル(80円換算で約426億円)だったそうです。

ビジョンとミッション

ナショナル・ギャラリー・シンガポールは「創造的、包括的な社会を涵養しインスパイアする進歩的な美術館」を目指し、「協働的な調査研究、教育、展示を通じて、シンガポール・東南アジアのアートと世界のアートの対話を創造すること」「歴史的なランドマークであるこの場において、類まれなコレクションと革新的なプログラムを通じて忘れがたい体験を提供すること」をミッションとしています。

VISION

A progressive art museum that fosters and inspires a thoughtful, creative and inclusive society.

MISSION

We create dialogues between the art of Singapore, Southeast Asia and the world through collaborative research, education and exhibitions.

We provide a memorable experience through outstanding collections and innovative programming in a historical landmark.

~公式ホームページより~

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展示の概要

伝統的な絵画・美術から現代美術までのシンガポールや東南アジアの作家の作品を8,000点以上コレクションしています。

旧最高裁判所やシティ・ホールという建築的な制約・制限があり、美術作品の展示環境としては必ずしも理想的とはいえないかもしれませんが、空間の特性を生かした展示も随所に見られます。建物自体、空間自体も展示と考えても良いかもしれません。特に旧最高裁判所側の建物にそれを感じました。

さまざまな展覧会

私が訪れた時は、《Century of light》という展覧会が開催されていました。これは印象派にスポットをあてた東南アジア初の展覧会らしいです。オルセー美術館から借りてきた作品が展示されていました。

2017年の夏には草間彌生の展覧会も開かれ人気だったようです。

多彩なプログラム、イベント

ガイド・ツアー、家族向け、学校団体向け、一般向けなど多彩な教育普及プログラムやイベントが行われています。中には建物に映し出すプロジェクション・マッピングなどもあり多くの人が楽しんだようです。

こうしたプログラムやイベントの参加者は789,000人(2017年度)にも上ります。ガイド・ツアーにも21,000人が参加しています。また、アート教育センターには549,700人が訪れており、教育活動の充実ぶりがうかがわれます。

ショップやレストランも充実

ここでは食べなかったのですが、館内にはおしゃれなレストランやカフェが複数入っています。中には夜景が美しく見えるバーもあるようです。ショップにはオリジナルグッズなどもありなかなかの充実ぶりでした。

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ナショナル・ギャラリー・シンガポールへのアクセス・行き方

MRT(地下鉄)東西線(East West Line)・南北線(North South Line)のシティ・ホール(City Hall)駅から歩いて6分ぐらいです。

ひとこと

年間200万人近くの入館者があるということですから、かなりの美術館です。

シンガポールや東南アジアの美術に特化しているのは、欧米作家のマスター・ピースはすでに欧米の美術館や裕福な個人が所蔵してしまっていてなかなか出回らないとか、出てきても高額という現実的な理由もあるのだろうなと想像しました。しかし、普段あまり目にすることのない東南アジアの作家の作品を見る良い機会であるのは間違いありません。

歴史的な建造物ということ自体もこの美術館の大きな魅力の一つです。

info

ナショナル・ギャラリー・シンガポール/National Gallery Singapore

  • 訪問日: 2018年1月22日
  • 開 館: 2015年11月24日
  • 入館者数: 1,974,900人(2017年度)
  • 所在地: シンガポール(1 St. Andrew’s Rd Singapore 178957)
  • アクセス: MRTのEast West Line・North South LineのCity Hall駅から徒歩約6分
  • 入館料: 20シンガポール・ドル(大人・個人・当日・外国人) ※参考:シンガポール人・永住者は無料(企画展は有料)
  • 開館時間: 10時~19時 ※金曜日は21時まで開館
  • 休館日: 休館日なし?
  • 公式サイト : https://www.nationalgallery.sg/

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訪問した日の旅行記です。