ブレラ絵画館 - 宗教画・ルネサンス期の絵画作品を数多くみられる美術館

中庭とナポレオン像。絵画館の入り口は中庭から2階にあがったところにあります

ブレラ絵画館(ブレア美術館):Pinacoteca di Brera - 見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想など

ブレラ絵画館は、美術教育のためにコレクションが始まった美術館で、現在でも同じ建物内に美術学校があります。ロンバルディア派やヴェネチア派などルネサンス期のコレクションが充実しています。

 

ブレア宮の歴史

ブレア絵画館(ブレア美術館)がある建物は、元々は、フミリアティ(伊:Umiliati、英:Humiliati、日:謙遜者団)と呼ばれたキリスト教系団体の14世紀の修道院で、その後、イエズス会にわたり学校として使われたようです。17世紀初期に今日見る建物の姿に改築されました。歴史を考えると、質実な建物であることもうなずけます。

1773年にイエズス会が解散すると、建物は国の所有となり、ミラノを含むロンバルディア地方も治めていたオーストリア大公のマリア・テレジアは、美術アカデミー、科学・人文科学研究機関、図書館、天文観測所、植物園などのミラノの主要な文化機関をこの建物に収容することにしました。今日でも建物の1階が美術学校となっていたり、天文観測機器が展示されていたり、植物園が隣接していたりとその名残を見ることができます。

ブレラ絵画館の概要・歴史

ブレア絵画館の開館は1809年。ナポレオンの誕生日を記念して8月15日に開館しました。ただ、絵画の収集自体は1776年から始まっていて、ここに置かれた美術学校の学生に名作を間近に見る機会を提供したいとマリア・テレジアが考えたからだとか。

教育を目的として始まった絵画収集ですが、開館する頃は様相が変わってきていました。開館日をナポレオンの誕生日に合わせたことからもわかるように、ロンバルディア地方はフランスの支配下になっていて、19世紀初頭は、フランス軍が支配した各地の教会や修道院から押収した作品が数多くここに集められました。そのため、ブレア絵画館には宗教関係の作品の所蔵が多くなっています。ここに集めて公開したのは、フランスの勢力誇示の意味もあったのかもしれませんね。

1861年にイタリアは統一されましたが、ブレア絵画館が国立美術館になったのは1882年のことです。

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宗教画が多いコレクション

ブレア絵画館のコレクションは、ロンバルディア派とヴェネチア派の作品が多いといわれています。ヴェネチア派は、wikiからの孫引きになりますが、“ルネサンス時代、特に15世紀後半から16世紀にかけてヴェネツィア共和国とその周辺で活躍した美術の流派”で“画面の色を使って構築し、流動的で詩的な雰囲気で人間の感覚に直接訴えかける効果を追求した”という特徴があるようです。ロンバルディア派の特色は調べきれませんでしたが、名前からするとこの地域に由来する流派であることは間違いないでしょう。

ブレア絵画館には約40の展示室があり(部屋番号は38まで)、400作品以上の作品を見ることができます。所蔵数はわからないのですが、公式サイトには649作品が掲載されています。コレクションには、美術の教科書で見たことがあるような作品、例えば、アンドレア・マンテーニャ「死せるキリスト」(第7室)、カナレット「サン・マルコの船だまりから波止場の眺望」(第35室)、フランチェスコ・アイエツ「接吻」(第38室)などもありますし、モディリアーニなどもあります。ちなみに、公式サイトでは作品がどの部屋に展示されているかとか貸し出し中を調べられるので、下調べにもいいかもしれません。

修復の様子も公開

面白いと思ったのは、展示室の中に修復工房があることで、修復作業の様子を公開しています。修復作業自体や絵画の裏側などは普通は見られないですから、とても貴重な機会だと思います。

写真撮影は禁止なので公式サイトの修復に関するページをご紹介します(英語)。

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ブレラ絵画館へのアクセス・行き方

地下鉄2号線のランツァ(Lanza)駅から歩いて6分程度です。地下鉄3号線のモンテナポレオーネ(Montenapoleone)駅からは7分程度です。また、スフォルツェスコ城も近く、歩いて8分程度です。

ひとこと

宗教画が多い美術館だなという印象だったのですが、この美術館の歴史を知ると、収蔵しているコレクション自体とはまた別の興味がわきます。宗教画が多い理由などにふれているサイトはあまりなく公式サイトの英語ページを見ながら調べてみたのですが、勉強になりました。

info

Pinacoteca di Brera

  • 訪問日: 2017年12月23日
  • 開 館: 1809年8月15日
  • 入館者数: 364,541人(2017年)
  • 所在地: イタリア・ミラノ(Via Brera, 28 20121 Milano)
  • アクセス:地下鉄2号線のランツァ(Lanza)駅から徒歩約6分。地下鉄3号線(Montenapoleon)駅から徒歩約7分
  • 入館料: 10ユーロ(大人・個人・当日) ※各種割引制度あり
  • 開館時間: 8時30分~19時15分 第1・3木曜日は22時15分までの夜間開館を行っているようです。
  • 休館日: 月曜日、1/1、12/25
  • 公式サイト : https://pinacotecabrera.org/

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訪問した日の旅行記です。