チャトラパティ・シヴァージー・マハーラージ・ヴァツ・サングラハラヤ - ムンバイにある歴史と伝統ある総合博物館

チャトラパティ・シヴァージー・マハーラージ・ヴァツ・サングラハラヤ

チャトラパティ・シヴァージー・マハーラージ・ヴァツ・サングラハラヤ (CSMVS:Chhatrapati Shivaji Maharaj Vastu Sangrahalaya):見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想など

チャトラパティ・シヴァージー・マハーラージ・ヴァツ・サングラハラヤは、「西インド・プリンス・オブ・ウェールズ博物館」の名前で1922年に開館したインド有数の総合博物館です。

 

CSMVSの歴史・沿革

1904年(1905年?)8月にムンバイの有力者が集まり、イギリスの皇太子であったプリンス・オブ・ウェールズ(後のジョージ5世)のインド訪問を記念し博物館を建設することを決めました。そして、1905年11月11日にプリンス・オブ・ウェールズが礎石を置き、博物館の名前も「西インド・プリンス・オブ・ウェールズ博物館(Prince of Wales Museum of Western India)」と決まりました。

1909年に着工し1914年に建物が完成。しかし第一次世界大戦(1914-1918)の時代。建物は軍隊が病院として使用し、その後、子どもの福祉に関する展示場所として利用されました。博物館が開館したのは1922年1月10日のことです。

長らくプリンス・オブ・ウェールズ博物館として親しまれてきましたが、1990年代に現在のチャトラパティ・シヴァージー・マハーラージ・ヴァツ・サングラハラヤ(CSMVS:Chhatrapati Shivaji Maharaj Vastu Sangrahalaya)に改名されました。この名前は、インドが植民地化される前の17世紀にムンバイを含むインドを広くおさめていたマラーター王国の初代王「チャトラパティ・シヴァージー」にちなむものです。ちなみに、同じくムンバイにあるヴィクトリア・ターミナス駅も1996年(1998年?)にチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス(CST)駅に改められています。

CSMVSの建物の特徴

1909年にコンペが開かれ、建築設計は、イギリス人のジョージ・ウィテットが担当することになりました。

建物の様式は、「インド・サラセン様式」と呼ばれるもので、インド、イギリス、イスラムの建築様式が融合しているのが特徴だそうです。そうした特徴はインド式列柱、アーチ型天井の空間、ドーム屋根などに見られます。また、ドームはビジャープルにある霊廟「ゴール・グンバズ」の影響を受け、尖塔についた装飾はタージマハルからの引用だそうです。

2018年に「ムンバイのヴィクトリア朝とアール・デコの遺産群」が世界遺産に登録されましたが、このCSMVSも遺産を構成する施設の一つです。

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多岐にわたるコレクションで多彩なテーマの展示

この博物館は、彫刻、テラコッタ(陶器)、青銅器、ハラッパ遺跡やエレファンタ石窟などからの出土品・発掘品、インドの細密画、ヨーロッパ絵画、中国や日本の陶器、象牙、布製品など5万点あまりに加え、自然史系資料もコレクションしており、実に幅広い分野の資料が展示されています。これらは、1905年に博物館開設を決めた時から収集されてきたものですが、ムンバイに拠点を置くインド三大財閥の一つで有名なタタ財閥トップからの寄贈なども含まれています。

博物館は、本館と東館の2つの建物から成り立っていますが、2つの建物は廊下でつながっています。3階建てです。

少し残念だったのは、資料保存の観点からはちょっと厳しいのではと思われる展示があったことです。

企画展も行われます。私が訪問した際は、インドの文明史に関するものが行われていました。

外国人は無料で利用できるオーディオ・ガイド

ヒンドゥ、マラーティー(ムンバイなど地元の言語)、英語、フランス語、ドイツ語、日本語、スペイン語の7言語のオーディオ・ガイドが用意されています。やはりオーディオ・ガイドを聞きながら見学すると理解が深まります。

ここの入館料はインド人85ルピー、外国人500ルピーで、外国人料金制度がありますが、外国人料金を支払うとオーディオ・ガイドが無料で利用できます(外国人料金の中に含まれているといってもいいのかもしれませんが)。

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充実した博物館としての活動

誤解を恐れずにいうと、CSMVSは、欧米や日本のような博物館活動がきちんと行われています。オーディオ・ガイド、ガイド・ツアー、子どものためをはじめとする各種ワークショップ、学校団体や教員などの向けたプログラムなどの定番的なものはもちろん、学位が取得できるプログラムなどもあり教育普及活動が充実しています。また、博物館として重要な保存・修復活動や調査研究活動なども行われています。

こうした欧米並み・日本並みの博物館活動の充実ぶりはホーム・ページ(公式サイト)や、ショップやカフェがあること、インドでは珍しく入館料がクレジット・カードで支払えることなどにも表れているように思います。

CSMVSへのアクセス・行き方

インド門から歩いて10分ぐらいのところにあります。CST駅やチャーチゲート駅からは徒歩で20分ぐらいです。

ひとこと

博物館らしい博物館でしっかりした総合博物館でした。私には名前が長く覚えにくく言いにくいのが玉に瑕です。地域の人のためのとても重要な博物館だと思いますが、同時にエレファンタ石窟群からの遺物をはじめ美しい細密画などもあり外国人にとってもムンバイへの理解を深めるためにとても良い博物館だと感じました。

まったくの偶然で、この投稿を書いていて気が付いたのですが、訪れた日は開館記念日だったのですね。そのためかどうかはわかりませんが、彫刻ギャラリーと企画展のところを除いてクローズしていました(かなり閉まっていたので翌日出直しました)。開館記念日なら無料開放とかあっても良さそうですが、あまり意識されていないのかもしれません。

info

チャトラパティ・シヴァージー・マハーラージ・ヴァツ・サングラハラヤ /CSMVS:Chhatrapati Shivaji Maharaj Vastu Sangrahalaya

  • 訪問日: 2018年1月10日、11日
  • 開 館: 1922年1月10日
  • 入館者数: -
  • 所在地: インド・ムンバイ(159-161, Mahatma Gandhi Road, Kala Ghoda, Fort, Mumbai, Maharashtra 400023)
  • アクセス: インド門から徒歩約10分、CST駅またはチャーチゲート駅から徒歩約20分(タクシーやバスなども利用できます)
  • 入館料: 500ルピー(大人・個人・当日・外国人)。※カメラ持ち込み料は50ルピー
  • 開館時間: 10時15分~18時
  • 休館日: 1/26、5/1、8/15、10/2、月曜日にあたる祝日
  • 公式サイト : http://www.csmvs.in/

【姉妹サイトの投稿記事】

訪問した日の旅行記です。