大英博物館 - 元祖博物館! これぞ博物館!!

大英博物館/The British Museum:見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想、最新情報など

第1展示室(Room 1)。かつては図書室で、1827年に建設されキングズ・ライブラリー(The King’s Library)と呼ばれていました。現在は啓蒙主義(Enlightenment)をテーマとした展示室で、開館当初の資料もあるそうです。日本のものもありました。

大英博物館は誰もが知る世界最高峰のミュージアムの一つ。そのコレクションは800万点にも及び展示されているものだけでも15万点!まさに古今東西の世界がここに集っています。

 

大英博物館の沿革・歴史

大英博物館設立は、医師にして博物学者、収集家だったハンス・スローン氏が亡くなり、その遺志に基づき、スローン氏のコレクション71,000点を2万ポンドで政府が買い取ることになったことがきっかけです。この時にできた法律により、1753年6月7日大英博物館が設立されました。2万ポンドはコレクションの質・量を考えると破格の値段だったとか。また、博物館を作るための資金は宝くじの収益が当てられることになりました。

なお、スローン氏のコレクションだけではなく、同時にすでに政府が所有していたコットン氏の蔵書と新たに購入したハーレー氏の蔵書が大英博物館のコレクションになりました。初期のコレクションはスローン氏のも含めて、図書類が多かったようです。

一般公開は、1759年1月15日から始まりました。この時の建物は、17世紀に建てられたモンタギュー・ハウスという大邸宅でした。場所は現在地です。

収集家ハンス・スローン

ハンス・スローン氏は、1660年に生まれ1753年に92歳で亡くなりました。幼少期から自然に関心を抱くとともに収集癖があったようです。アイルランドで生まれ育ちましたが、ロンドンで植物学と医薬を学び、その後、パリで医学を学び医師になりました。その後、当時イギリスの植民地だったジャマイカに赴く総督・アルベマール公に医師として同行。この時に、ジャマイカの植物800種をはじめ、動物や珍しい物を収集しイギリスに持ち帰りました。

ロンドンに戻った後、国王や貴族などを顧客に持つなど医師として大きな成功をおさめました。医師としての活動を行いながら、友人から買い取ったりすることを含めて、博物学的にさまざまな物を収集していき、大きな家が必要になり引っ越しするまでにコレクションは大きくなっていきました。そのコレクションを見るために、多くの学者や有力者が訪れたそうです。こうして大英博物館につながる資料が収集されました。1727年にはアイザック・ニュートンの後を継いで、王立協会の会長にも就任しました。

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開館後の発展

1802年にロゼッタ・ストーンを取得したり、開館後、いろいろな有力者からの寄贈も含めて、収蔵品は増えて行きました。新しい建物も建設されましたが、それでも収まり切れず、1881年にはサウス・ケンジントンに分館を開館させました。かつて大英自然史博物館と呼ばれた、今日のロンドン自然史博物館です。

開館時から図書館としても機能してきた大英博物館ですが、その図書部門は、1973年に他の図書館とも統合され大英図書館になりました。統合された後も大英博物館の敷地内で活動が続けられていましたが、1997年にとうとうセント・パンクラスの新施設に移転しました。マルクスが資本論などを書いたという円形の閲覧室を残し、周りにあった書庫は取り壊され、グレート・コートが誕生しました。このグレート・コートはエントランス・ホールとして機能しています。

大英博物館の見どころ・展示

800万点を収蔵しそのうち15万点を展示している、見どころだらけの大英博物館なので、「1日では見切れない、1週間はかかる」とか言われたりもします。確かに一つひとつをじっくりゆっくり見て行ったら時間がいくらあっても足りません。一方で、ごく短時間の滞在で大英博物館を見たという“アリバイ”をつくるような団体での来館も多いようです。決してそれが悪いとは思いませんが、見られないものも多いでしょうし慌ただしいのは確かです。

大英博物館の見どころがどこかといえば、趣味や関心によって違うと思いますが、大英博物館のウエブ・サイトには、1時間や3時間の見学時間の場合のおススメが掲載されています。そこに出ているのがハイライト、見どころといえるかもしれません。

【1時間の場合】

  1. ロゼッタ・ストーン:The Rosetta Stone Room 4
  2. アッシリアのライオン狩りのレリーフ:Assyrian Lion Hunt reliefs Room 10
  3. エルギン・マーブル(パンテオン神殿の彫刻):Parthenon sculptures Room18
  4. ルイス島のチェス駒:Lewis Chessmen Room 40
  5. オクサス遺宝:Oxus Treasure Room 52
  6. ウル王朝のゲーム盤:Royal Game of Ur Room 56
  7. ケイティベ?のミイラ:Mummy of Katebet Room 63
  8. 侍の甲冑:Samurai armour Room 93
  9. イフェの王:King of Ife Room 25

ちなみに、フロア・マップの1時間コース=Don’t missは上記と少し違っていて、「7. ケイティベ?のミイラ(Mummy of Katebet)」と「9.イフェの王(King of Ife)」が入っていない一方で、5つの展示が加わっています。

  1. 聖棘遺物箱:The Holy Thorn Reliquary Room 2
  2. ポート・ランドの壺:The Port Land Vase Room 70 
  3. デイビットの壺:The David Vases Room 95
  4. 象牙のマスク:Ivory pendant mask Room 25
  5. イースター島のモアイ像:Easter Island statue Hoa Hakananai’a Room 24

大英博物館に日本の展示室があることの意義

三菱商事が寄付しスポンサーになっている日本の展示室があります。その名もずばりThe Mitsubishi Corporation Japanese Galleries(三菱商事 日本ギャラリー)。ちょっとわかりづらい場所にあるのは残念ですが、立派な展示室です。1990年にできたそうです。

展示構成は、「古代」「中世」「江戸」「近現代(ペリー来航から現在まで)」に分けられて時代順に日本の文化を紹介しています。資料展示だけではなく、茶室が再現され茶道の実演も行われるようです。

興味深かったのは、鎖国といわれる江戸期にも、4つの対外窓口があったという紹介のされ方をしていたことです。長崎の出島が海外へ開かれていたただ一つの窓という思い込みがあったのですが、松前藩がアイヌなど北方への窓、対馬が朝鮮半島への窓、薩摩が琉球を通じた中国などへの窓ということが紹介されていました。確かに言われてみればその通りで、恥ずかしながら知っていても他の3つの窓はあまり意識していませんでした。思い込んではいけないものです。

展示されている資料の質、レベルですが、なるほどと思うものもあるものの、あくまで素人の感覚ですが、少し微妙な感じがしました。何故かしっくりこないのは見る目がないからだと思うのですが…。

明治維新のころ、日本の文化財が数多く海外に流失したと聞きます。このこと自体はとても残念なことだと思いますが、見方を変えると、流失した文化財は日本の文化大使、PR大使として大きな可能性があると思います。世界中から年間約600万人も来る大英博物館です。ぜひ、こうした文化財が日本への理解促進や親近感醸成に役立ってほしいものです。

日本に関する展示は、第1展示室や朝日新聞が提供している展示コーナーにもありました。

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ボランティアが運営しているハンズオン展示

ハンズオン展示のデスクが設置されている展示室が5か所にあります(Room 1、2、24、49、68)。企画展を開催している時にも設置されるようです(Room 30)。これらは11時から16時までの間、ボランティアによって運営されています。行われる場所は変わるかもしれませんが、フロア・ガイドでチェックしたり、見かけたら体験してみるのも良いと思います。

教育普及プログラム・イベント

さまざまなガイド・ツアーやギャラリー・トーク、学校団体や教員に向けたプログラム、バックパックやトレイルなどの家族向きプログラム、ワークショップ、講演会、講義・講習、講演、パネル・ディスカッション、パフォーマンスなどが、多様な分野・テーマで実にきめ細かく行われています。アジア美術の学位や18世紀を研究する修士号を取得するためのコース、貨幣学のサマー・スクールなどの学術的なプログラムもあります。

大英博物館の教育普及プログラムやイベントは、あえていうならば、際立った特徴があるというよりも、定番というかオーソドックスな教育普及プログラムが遺漏なくきめ細やかに一通りあることが特徴といえるかもしれません。もちろん、質が高いことはいうまでもありません。そんな中でもいくつか面白いと思ったものをご紹介します。

Around the World in 90 Minutes: 館内各所の見どころを巡る大人向きのガイドツアー。わざわざ12歳以下にはおススメではないと書かれています。有料(14ポンド)。「80日間世界一周」ならぬ「90分間世界一周」。それだけ世界のいろいろなものが大英博物館に集まっているのですね。

ちなみに、無料の“Daily eye-opener tours”とか“Spotlight tours”がありますが、こちらは特定のテーマ、展示室で行われるもので、どちらかというとギャラリー・トークに近いもののようです。ギャラリー・トークは“Galley Talks”として別に行われるので、違いが今一つ良くわからないのですが、解説・案内する人の違いでしょうか。

いずれも日本語はなく英語のみのようです。

Samsung Digital Discovery Centre : サムスンが提供しているデジタル機器を使って子どもたちが世界の歴史や文化を学んだりクリエイティビティを育む活動やワークショップを行っています。そのための部屋が整備されています。

ESOL Programme : ESOLはEnglish for Speakers of Other Languageの頭文字で「英語を母語としない人のための英語」と訳されます。大英博物館のさまざまな展示などを題材にしながら英語を学べるグループ・ツアーやワークショップが行われています。出身地の文化が題材ならより英語を習得しやすいかもしれませんね。

Home Educators:さまざまな理由で学校には通わず(通えず)家庭などで学習する子どもたちがいます。そうした子どもたちを教えるための親など保護者向きのコースが設定されています。Home Educators Day(2018年11月22日)もあり、ホーム・エデュケーターと子どもたちが参加できるワークショップ、トレイル、講演などが行われます。

Special Educational Needs:大英博物館に限ったことではないですが、視覚、聴覚、学習、運動などに障がいがある子どもたちのためのプログラム(触れたり、臭いをかいだり、音を聞いたり、デジタル機器で学んだりなど)が設定されています。

大英博物館へのアクセス・行き方

地下鉄Central線・Nothern線のTottenham Court駅から徒歩5分、Picadilly線のRussell Square駅から徒歩6分、他にHolborn 駅やGoodge Street 駅からも近いです。大英博物館は表通りに面していないので、もしかしたら少しわかりにくいかもしれません。

最新情報

2017年の入館者数5,906,716人で、前年比マイナス8%で600万人を割り込みましたが、イギリスではトップの入館者数でした。ちなみに、世界では、2016年のデータになりますが、ルーブル美術館、メトロポリタン美術館に続き3番目でした。

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大英博物館で感じたいろいろなこと

大満足の大英博物館

世界のいろいろなところで自国の文化財が大英博物館にわたったため大英博物館への批判や返還請求があります。単純には良い悪いはいえないので、ここではそのことは置いておくとして、素直に大英博物館はすごいと思いました。日本の展示室は少し微妙でしたが、展示されている文化財の数々は、専門のミュージアムの方が良いものを所蔵している場合もあるかもしれませんが、どれも素人目には一級品で素晴らしいもの。教科書で見たことがあるような有名作品もいっぱいあります。古今東西の人類の歴史と文化がここに集まっているような気がしました。ほんとうに大満足の大英博物館でした。

入館料無料の伝統

大英博物館は入館無料です。もちろん、寄付金箱も置かれ寄付が奨励されていたり、企画展やイベントなど有料のこともありますが、基本的に常設展の入館料は無料です。これはハンス・スローン氏の遺志に基づくものだそうです。すべての学問にはげみ好奇心旺盛な人々(all ‘studious and curious persons)に開かれた博物館であるために無料であることは必須のこと、いわば設立の理念とも言っていいぐらい大英博物館にとって大切なことのようです。1974年に3か月間、試行的に有料化したこともあるようですが、無料に戻りました。ちなみに、有料化した3か月間の入館者数は60%もダウンしたそうです。

外国語がいっぱい聞こえる!

入館者の56%が海外からだそうですが、ほんとうにいろいろな国の言葉が聞こえてきました。発展途上国といわれた国々も経済力を高め、どこの国もどんどん海外旅行が一般化しているのだと思います。ほんとうに大英博物館には世界中から訪れていると感じました。

30年も前に大英博物館を訪れた時には、東洋系は数もそれほどでもなく、いても聞こえてくるのは日本語ばかりだったのですが、今や中国人や韓国人の方が多いのではないでしょうか?これは大英博物館に限ったことではないのですが。

インスタ映えは世界共通

多くの国から観光に訪れる人が多いためか、館内のあちこちで記念撮影をする姿を見かけました。人気の展示物は順番待ちもあります。インスタなどSNSに上げるのでしょうね。そのこと自体は悪いことだと思わないのですが、ただ少し残念なのは展示をじっくり見たいと思った時にそれがしにくかったことです。

ロゼッタ・ストーン。多くの人が写真を撮ってました(私も含めて)

「大英博物館の舞台裏」

15年間、館長を務めたデイヴィッド・M・ウィルソン氏が書いた「大英博物館の舞台裏」(初版:1994年)という本があります。他にも大英博物館のことを紹介している本はいっぱいあると思いますし、少し古い本ですが、大英博物館のことを知るにはとても良い本だと思います。現在は、古本でしか手に入らないようです。

info

The British Museum

  • 訪問日: 2017年12月7日
  • 開 館: 1753年6月7日設立、1759年1月15日一般公開
  • 入館者数: 5,906,716人(2017年)
  • 所在地: イギリス・ロンドン(Great Russell Street, London, WC1B 3DG)
  • アクセス: 地下鉄Central線・Nothern線Tottenham Court駅から徒歩5分 Picadilly線Russell Square駅から徒歩6分など
  • 入館料: 無料 ※企画展は有料もあり
  • 開館時間: 10時から17時30分、聖金曜日を除く毎週金曜日は、一部の展示室は20時30分まで観覧できます
  • 休館日: 1/1、12/24-26
  • 公式サイト : http://www.britishmuseum.org/
  • 日本語サイト http://www.britishmuseum.org/visiting.aspx?lang=ja

【姉妹サイトの投稿記事】

訪問した日の旅行記です。