エジプト考古学博物館(Museum of Egyptian Antiquities/Egyptian Museum/El Mathaf El Masri):見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想など
エジプト考古学博物館は、ツタンカーメンの黄金のマスクをはじめ、20万点ともいわれる資料を所蔵しているエジプト考古学の総本山といえる博物館です。
エジプト考古学博物館の歴史・沿革
1835年にエジプト政府は博物館を開館させました。しかし、帝国主義の時代ですしどのような経緯があったかわかりませんが、なんと1855年にオーストリア皇帝の弟・マクシミリアン1世(Archduke Maximilian of Austria)に、収蔵していたすべての遺物を渡してしまったようです。この時渡ったコレクションは、現在、ウィーンにある美術史美術館(Kunsthistorisches Museum)にあるようです。
このことにも見られるように、古代エジプトの遺物の海外流失は激しく、これを憂いたフランス人考古学者でエジプト考古局の初代局長のオギュスト・マリエット(Auguste Mariette)は、1858年に倉庫を改造し博物館を作ったようです。しかし、この建物はナイル川の氾濫により1878年に大きな被害を受けました。このため、1891年にコレクションはギザにあるかつての王宮に移されました。その後、新しい建物が建設され1902年に移転。これが現在の博物館です。
ちなみに、オギュスト・マリエットは、1849年からルーブル美術館のエジプト考古部に職を得、1851年から4年間エジプトに滞在、発掘調査を行いました。この時に多くの発掘品をルーブル美術館に持ち帰ったそうです。その後、1857年にエジプトに戻り1858年に考古局の設立とともに局長に就任しました。もう一つ豆知識。オペラ「アイーダ」は、当時のエジプト総督(副王)だったイスマーイール・パシャの依頼により作られましたが、その原案を書いたのもオギュスト・マリエットだそうです。
2011年の「アラブの春」と呼ばれる民主化運動に伴う騒乱で、博物館もコレクションが壊されたり略奪されたりなどの大きな被害を受けました。およそ50点がなくなったようですが、25点は発見されたようです。
収蔵資料が増えるとともに、100年以上経つ建物で老朽化が進んでいることから、現在、ギザに新しい博物館の建設が進んでいます。
時代ごとの展示構成の1階とテーマ展示の2階
収蔵資料は20万点とも25万点ともいわれています。このうちのどれぐらいが展示されているのかわかりませんが、ともかく豊富な実物資料に圧倒されます。
展示は2フロアから成っています。展示構成は、見たところ、1階は初期王朝、古王国、中王国、新王国など時代区分に分けられた通史的な展示、2階がツタンカーメンやミイラなどテーマを設定した展示になっているようでした。これは、石像などの重量物は1階、そうでないものは2階という建物の構造上の理由で、こうなっているのでしょう。
展示方法は実物資料中心。これでもかというほど、古代エジプトの遺物がたくさん展示されています。今風の映像やPCを使った展示はなかったと思います。解説パネルもほとんど見かけませんでした。また、最近は資料保護を考えLED照明を使うことが多いですが、それもなかったと思います。石素材はともかくパピルスなどは気にした方がよさそうに思うのですが。
ツタンカーメンはやはりハイライトで見どころ
ツタンカーメンの墓から発掘された副葬品の数々が展示されています。ツタンカーメンといえば「黄金のマスク」が有名です。ここでは間近に見ることができます。残念ながら黄金のマスクがある部屋は撮影禁止ですが、ツタンカーメンの展示室の外には、同じく墓から発見された玉座や厨子などが展示されています。こちらは撮影OKでした。
発掘された品々は、修復もされているのかもしれませんが、どれも息を飲むほど美しかったです。一見の価値ありです。
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ファラオのミイラが見られる展示室
2階には王(ファラオ)などのミイラの展示室もあります。入館料とは別に拝観料が必要です。ここも撮影禁止。
この展示室には、アブ・シンベル神殿やルクソール神殿、カルナック神殿などの建設で有名なラムセス2世のミイラもあります。身長は173cmだそうですが、生前は180cmぐらいあったようです。これは当時としてはかなりの大柄。死亡時の推定年齢は88~92歳。こちらも当時としてはかなりの長寿。
ラムセス2世もそうですが、ミイラは修復されているにしても3,000年とか4,000年の時を経ているようには思えないほど保存状態が良く、リアルな迫力を感じます。
チケット購入ではカメラ・チケットも忘れずに!
入館料は2017年に値上げされたようですが、120エジプト・ポンド。これは外国人料金でエジプト人料金より割高になります。これはまぁ致し方ないことかと。
ミイラ展示室を見る場合は別料金が必要で、150EGP。ミイラ展示室の入り口で売っていました。私は入館する時にチケット売り場で入館券とセットで購入しました。その場合は240EGP。別々に買うよりも30EGPよりお得ですので、セット券を買っておいた方が良いと思います。
忘れてならないのは、カメラの持ち込みチケット。50EGPでした。私は買い忘れて、セキュリティ・ゲートのところで教えられ、戻って買いました。混雑時は時間のロスにまりますので、写真を撮りたいときはわすれずに!
エジプト考古学博物館へのアクセス・行き方
地下鉄のサダト(Sadat)駅から歩いて7分ぐらいです。
怪しい奴に注意!!
カイロを安全に効率よく観光したかったので、現地ツアーを利用しました。私一人だけでしたので、観光時間が柔軟に対応できてよかったです。
ツアーの車を降りると、さすが世界三大うざい国のエジプト。すぐ目の前に見えてるのに、そっちは違う、こっちが入り口だという怪しい奴がさっそく登場しました。ガイドなんだかどっかの店に連れて行こうとしているのかわかりませんが、無視です。ハン・ハリーリの市場でも同じようなのがいましたし、ガイド付きではない個人旅行の場合は特にお気をつけください。
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大エジプト博物館はいつ開館する?
建物の老朽化と資料の増大に対応するために、ギザの三大ピラミッドの近くに新博物館「大エジプト博物館(The Grand Egyptian Museum:GEM)」が建設されています。
2018年にオープンする予定もあったようですが延期。朝日新聞の2018年6月11日付記事によると、2019年にツタンカーメンの遺物などを展示し部分開館し、2022年に全面開館を予定していることが発表されたようです。運営は入札で外国企業に任せることも合わせて記事になっていました。
敷地面積は47万平方メートル、延床面積は9万平方メートルで、現在の博物館からツタンカーメンの遺物を含めて最終的には10万点あまりを移管する予定のようです。
この博物館の建設費はおよそ630億円で、そのうち348億円を円借款というかたちで日本も協力するようです。また、この博物館には付属施設として保存修復センターが作られ、JICA(国際協力機構)が人材育成などに協力する計画があります。
2019年の部分開館はなくなったという話もあるようですが、新博物館の開館が待たれます。
なお、JICAが大エジプト博物館に関するプロジェクトのサイトを設けています。
ひとこと
私は3時間ほどいましたが、一通りざっとみるのがやっとでした。さすが本家本元。資料がものすごく充実しています。
それにしても、アメリカやヨーロッパにかなりの古代エジプトの遺物が流失しているにもかかわらず、博物館にあんなにたくさんあるなんて、いったいどれだけ古代エジプト人はつくったのでしょう。ただひたすら驚きです!
info
Museum of Egyptian Antiquities/Egyptian Museum/El Mathaf El Masri
- 訪問日: 2018年1月4日
- 開 館: 1858年
- 入館者数: -
- 所在地: エジプト・カイロ(15 Meret Basha, Ismailia, Qasr an Nile, Cairo Governorate)
- アクセス:地下鉄のSadat駅から徒歩約7分
- 入館料: 120エジプト・ポンド(大人・個人・当日・外国人)。ミイラ展示室は入館券とのセットで240EGP(別途購入すると150EGPらしいです)。カメラ持ち込み料50EGP
- 開館時間: -
- 休館日: -
- 公式サイト : 不明
※公式サイトが不明でしたので、情報は私の体験に加え、Wikipediaや旅行情報サイトなどを参考にまとめています。
【姉妹サイトの投稿記事】
訪問した日の旅行記です。