シンガポール国立博物館/National Museum of Singapore:見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想など
シンガポール国立博物館は、民族・文化、自然、アートなどの展示もある歴史系の総合博物館で、1887年に開館したシンガポール最古の博物館です。シンガポールのことを知り学ぶためにはとても良い博物館です。日本人ボランティアによるガイド・ツアーもあります。
シンガポール国立博物館の歴史・沿革
シンガポール国立博物館の前身は、シンガポール・インスティテューション(Singapore Institution、現在のラッフルズ・インスティテューション:教育機関でシンガポールの名門校)の一部門、「ラッフルズ図書・博物館(Raffles Library and Museum)」として1849年に設立されました。
設立後、数回の転居を経て現在地に移転し、1877年10月12日に開館。この時を正式な開館日としているようです。開館当初は、動物学や民族学なども数多くコレクションされていました。資料の増大のため、1906年、 1916年、 1926年、1934年に拡張工事が行われています。
シンガポールが独立した1965年に「シンガポール国立博物館(National Museum of Singapore)」の名前になりました。また、この時に動物学や民族学の資料がシンガポール大学、インドのコルカタやマレーシアのクアラルンプールなどのイギリス連邦の博物館に移管されています。
1993年から2006年5月までの一時期、「シンガポール歴史博物館(Singapore History Museum)」と改称されましたが、その後、元の名前に戻りました。
増改築のため、建物は2003年にいったん閉鎖されたものの、博物館がリバーサイド・ポイント(Riverside Point)に仮設され活動は行われていました。その後、3年半の増改築期間を経て、2006年12月2日に再オープン。新しい建物が加わったため、博物館の広さは2倍になったそうです。
展示の概要や見どころ
展示は、大きく2つの常設展示といくつかのテーマ展示、企画展示からなり、これらが3フロアに分かれて展開しています(建物は4層構造です)。
大きな2つの常設展示は、「シンガポール歴史展示室(Singapore History Galley)」と「シンガポールの暮らし:過去100年(Life in Singapore:The Past 100 Years)」です。
シンガポール歴史展示室(Singapore History Galley)
シンガポール歴史展示室は、1階にあり、700年前から今日に至るまでの歴史を紹介しています。700年前の14世紀頃からサンスクリット語で「ライオンの町」を意味する「シンガプーラ(Singapura)」と呼ばれた時代、イギリスの植民地時代、昭南島と呼ばれた日本占領時代、独立闘争、今日のシンガポールなどが実物や映像などを活用してわかりやすく紹介されています。
一時期、シンガポール歴史博物館と呼ばれただけあって、歴史展示は充実しています。この博物館の見どころといえるでしょう。
<広告>
シンガポールの暮らし:過去100年(Life in Singapore:The Past 100 Years)
「シンガポールの暮らし」に関する展示は2階にあり、4つの時代を中心に過去100年間の人々の暮らしにスポットをあてて紹介しています。
■近代の植民地時代(Modern Colony):1920年代から1930年代の植民地時代の人々の暮らしにフォーカスした展示が行われています。
■昭南島時代(Surviving Syonan):日本占領下時代のシンガポールの人々の機知やたくましさを知ることができる展示があります。
■成長期(Growing Up):1955年から1965年の戦後の成長期のシンガポールを振り返ります。1965年がシンガポールの独立ですからその前後にあたる時代です。
■シンガポールの声(Voices of Singapore):1975年から1985年にかけてのシンガポールの人々の自己表現や創造性などによるアイデンティティの表出について考える展示があります。
テーマ展示
この博物館には常設のテーマ展示がいくつかあります。
■ガラスのロタンダ(Glass Rptunda)
ロタンダは円形建物などと訳されますが、ここではドーム状の円形広間のことを指しています。
この空間では、日本のチームラボによる「森の物語(Story of the Forest)」と題されたインタラクティブ映像が上映されています。また、シンガポールの樹木の写真展示もありました。
■第10展示室(Galley 10)
第10展示室(Galley 10)は、芸術と科学の領域を超えた実験的なアート空間になっています。訪れた時は、Art of the Rehearsalというビデオ・インスタレーションが行われていました。内容は、さまざまな民族文化の踊りがシンガポールの路地裏で繰り広げられるものでした。シンガポールの民族の多様性がわかる展示です。
そのほかにも、Goh Seng Choo Galleyで自然史系の展示もありました。
<広告>
企画展示は日本の占領に関するもの
地階に企画展示室があります。訪れた日は、「戦争の証人-1942年を回顧する-(Witness to War -Remembering 1942-)」という企画展を行っていました。内容は1942年2月から始まった日本のシンガポール占領に関するものです。
ジャーナリストのノートという体裁のワークシート(学習ノート)が配布されていました。かなり充実した内容で小学生向け(7~12歳向け)と中学生以上(13歳以上)向けの2種類がありました。このワークシートは企画展示と常設展示をつなぐ役割も果たしています。
ボランティアによる日本語ガイド・ツアーもある教育普及活動
ガイド・ツアー、学校向けプログラム、音楽会などのイベント、ワークショップなど欧米のミュージアムで一般的な教育普及プログラムが行われています。また、オリジナル・アプリもあります。
日本語のガイド・ツアーもあり、基本的に月曜~金曜に毎日1回10時30分からと第1土曜日の13時30分から開催されています。注目したいのは、この日本語ガイド・ツアーがシンガポールにお住いの日本人ボランティア団体によるものだということです。この団体は、この博物館以外にもアジア文明博物館やプラナカン博物館でもガイド・ツアーを行っているようです。素晴らしい取り組みだと思います。
シンガポール国立博物館へのアクセス・行き方
MRT(地下鉄)のサークル線(Circle Line)のブラス・バサー(Bras Basah)駅から歩いて約3分、ダウンタウン線(Downtown Line)のベンクーレン(Bencoolen)駅から歩いて約4分です。そのほかドビー・ゴート(Dhoby Ghaut)駅やシティ・ホール(City Hall )駅からも歩ける距離にあります。
ひとこと
民族・文化、自然、アートなどの展示もありますが、歴史系が充実している総合博物館でした。
展示手法は実物資料を展示するだけではなく映像や模型なども適宜活用され、欧米や日本で見ることができるような展示が行われていました。デジタル映像を活用したインタラクティブな展示が行われているのも印象的でした。
まったくの印象ですが、日本の占領に関する展示のボリュームがかなり多いように感じられました。シンガポールの人々は日本による占領や日本に対してどのような考えを持っているのか気になるところです。
info
シンガポール国立博物館(National Museum of Singapore)
- 訪問日: 2018年1月22日
- 開 館: 1877年10月12日
- 入館者数: -
- 所在地: シンガポール(93, Stamford Road, Singapore 178897)
- アクセス: MRTのサークル線(Circle Line)のBras Basah駅 から徒歩約3分、ダウンタウン線(Downtown Line)のBencoolen駅から徒歩約4分など
- 入館料: 15シンガポール・ドル(大人・個人・当日・外国人) ※参考:シンガポール人・永住者は常設展無料です
- 開館時間: 10時~19時
- 休館日: 休館日なし?
- 公式サイト : http://nationalmuseum.sg/
【姉妹サイトの投稿記事】
訪問した日の旅行記です。