【世界遺産候補?】ワラナシ(バラナシ) - 信者も旅人も巡礼するインド最大の聖地

ガンジス川と夕日

ワラナシ(バラナシ)/Varanasi:概要、歴史、見どころアクセス・行き方、感想など

ワラナシは世界遺産に登録されていませんが、登録に向けた動きがあります。ぜひ世界遺産になってほしいという願いを込めて、ヒンドゥー教などの聖地であるワラナシを紹介します。

※かつてベナレスと呼ばれていたワラナシ(Varanasi)は、「ヴァーラーナシー」「ヴァラナシ」、「バラナシ」「ワーラーナシー」などのさまざまな表記がありますが、ここでは「ワラナシ」としました。

 

ワラナシの概要と歴史

日本ではかつて「ベナレス」という名前で呼ばれていたワラナシ。これは英語名のBenaresが日本風の読み方になったもののようですが、現在では、「ワラナシ」や「バラナシ」などと表記されることが一般的だと思います。このワラナシ(Varanasi)の名前は、この地域を流れる二つの川・ワルナー川(Varuna)とアッシー川(Assi)に挟まれていることに由来します。また、巡礼の聖地としての名前は「カーシー(Kashi)」というそうです。

ワラナシの歴史は古く、紀元前6世紀には古代インドの主要国の一つ「カーリー王国」の首都がおかれました。その後、他の王朝の支配下になりましたが、428年にはヴィシュワナート寺院が開かれるなど聖地としての重要性が高まったようです。しかし、12世紀末頃からのイスラム勢力の侵攻により、ヒンドゥー教などの寺院が破壊されてしまいました。再び、多くの寺院が建設されたのは、イスラム王朝であるムガル帝国が衰退した18世紀以降のことです。この時期に多くのガート(沐浴場)も建設されました。

ワラナシ郊外にあるサールナート(Sarnath)は、ブッダが初めて説法を行った地=初転法輪の地で、仏教の4大聖地のひとつになっています。この地は仏教では鹿野苑とも呼ばれるようです。

ガンジス川とガート

インドと聞いてイメージするものに、ガンジス川の沐浴があると思います。まさにこれが見られるのがワラナシで、ワラナシ最大の見どころといってもいいでしょう。

地元ではガンジス川自体が女神と考えられており、その女神の名はガンガー(Ganga)といいます。「母なるガンガー(Gangamataji)」という言い方もあるようです。このためガンジス川はガンガーと呼ばれています。

ガンガーの聖なる水で罪を洗い流し清め、死んだら遺灰をガンガーに流してもらい輪廻からの解脱を得る。このため、毎日、多くの巡礼者がワラナシを訪れています。

沐浴場はガート(Ghatと呼ばれていて、ワラナシにはガンジス川沿いのおよそ6.4kmに84のガートがあるそうです。

火葬場のガート

それぞれのガートには伝説、いわれ、特徴がありますが、中でも火葬場になっているガートには驚かされます。

火葬場になっているガートは2か所あります。マニカルニカー・ガートとハリシュチャンドラ・ガートです。マニカルニカー・ガートの方が大きかったです。火葬のためにインド各地から遺体が運ばれ火葬の煙は24時間絶えることがないといいます。荼毘には3時間かかるそうですが、妊婦や赤ん坊・子どもなどは荼毘にふされることなく重しをつけられガンジス川に沈められるということです。

※写真撮影は厳禁・詐欺に注意

火葬場ですが、礼儀を守っていれば見学して良いようです。ここで気を付けたいことは写真撮影が厳禁だということ。また、薪代を請求してきたり、近くにあるマザー・テレサのホスピスへの寄付・ドネーションを要求してきたり、勝手にガイドを始める偽ガイドがいたりすることです。ボートに乗りこんできて押売りをしたり寄付を請求するようなのもいるようです。

なお、写真撮影は、漕ぎ手の人がいうにはガンジス川のボートからなら、離れているためか大丈夫なようです。

落ち着いて見学するのが難しい状況もあるかもしれませんが、ワラナシに来たらやはり火葬場のガートは見て感じることが大切だと思います。

ボートでガートを巡る

手漕ぎボートにのってガートをガンジス川から見るのも定番です。料金はもちろん交渉制。時間帯や観光客の多寡・シーズンなどでかなり値段が変動します。コミッション目当ての客引き専門もいて、そちらを経由するとかなり高くなります。私は早朝と夕方の2回乗りましたが、1時間で350ルピーと100ルピーでした。

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日の出のガンジス

朝日に染まるガンジス川が美しく、沐浴する人も多いというので日の出の時刻に合わせてガンジス川に行きました。しかし、朝霧で何も見えません。訪れたのは1月半ばですが、この時期は朝霧が発生することが多いようです。冬の朝に朝日のガートを期待してもダメなようです。ミステリアスといえばミステリアスで良いのですが…。朝の割増料金でちょっと高かったのですが、これも経験です。

夕方のガンジス

夕方もボートに乗ってみました。朝や昼とは異なる風景を見られましたし、悠久の時間というか不思議な時間の流れを感じました

対岸にも行きました。ガイドブックには不浄の地という記述もあったのですが、意外に多くの人がいました。

ダシャーシュワメード・ガートのプージャー

ワラナシのガートの真ん中あたりに巡礼者が最も多く訪れ沐浴するというダシャーシュワメード・ガートがあります。このガートでは、プージャー(礼拝、供養)が行われます。プージャーはいろいろな時間帯に行われるようですが、夕方に行われるものは多くの信者や観光客を集めています。

独特の節回しで僧侶がお経なのか詠唱なのかわかりませんが唱え儀式を進めていきます。また、鐘の音もとてもにぎやかさで独自の世界が出現します。

このプージャーが終わると食事がふるまわれます。多くの人が並んでいました。

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ヴィシュワナート寺院(Vishwanath Temple:黄金寺院・Golden Temple)

シヴァ信仰の中心的な寺院でバラナシを訪れた巡礼者が必ず行くというヴィシュワナート寺院。創建は428年のことですが、イスラム教徒により破壊されたてしまったこともあったようです。現在の屋根が金箔でおおわれた寺院は18世紀に建立されたものです。

拝観待ちの長蛇の列が路地にできていると思いますが、外国人はパスさせてもらえます。パスポートと財布ぐらいは持っていけますが、それ以外はダメ。電子機器はもってのほからしく、デジタルの腕時計も持ち込めません。荷物は近くにお土産屋さんに預かってもらいます。50ルピーでした。境内に入る前にパスポートの提示が必須で名前やパスポート番号が台帳に記入されます。そこで裸足にもなります。写真撮影はもちろん禁止です。場所は少しわかりにくいところにあったので、スマホのGPS機能を頼りに行きました。

境内は大混雑。多くの信者で活気と熱気にあふれていました。

迷路のような細い路地の旧市街

ワラナシの旧市街は、一言でいえば、汚く衛生的ではないところがいっぱいあります。観光客が多い街中の大通りは野良牛が残飯を漁っていたり闊歩していたりします。通りを歩いていると物乞いをはじめショックなシーンを見かけることも多いと思います。

入り組んでいて迷路のような細い通りはワラナシの旧市街の特徴の一つといえるでしょう。牛の糞などもそこら中にあり気を付けないと踏んでしまいますし、小便の臭いが漂っているところもかなりあります。

それらを含め、いろいろな聖も俗もあるのがワラナシなのかもしれません。

ワラナシの場所・アクセス

ワラナシへは、デリーやコルカタなどから鉄道や飛行機でアクセスできます。

ガンジス川のガートなどがある旧市街まではワラナシ駅から4kmぐらいです。オートリキシャなどが便利だと思いますが、オートリキシャはすぐ近くまではいけず、手前のChurch Crossingというところあたりまでとなります。

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ひとこと

ワラナシの旧市街は、インドらしいインドに出会える場所かもしれません。ともかく日本では考えらないことがいっぱいですが、誘惑に負けず、まただまされないように十分注意しながら、ワラナシを体感・体験するのは貴重な経験だと思います。

世界遺産になることを期待したいです。

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訪問した日の旅行記です。