アメリカ自然史博物館 - 自然と人の世界最高峰の博物館

アメリカ自然史博物館/American Museum of Natural History:見どころ、概要、歴史、アクセス・行き方、展示、感想、最新情報など

 

アメリカ自然史博物館のなりたち

歴史

1869年アルバート・S・ビックモアという若き博物学者は、銅山経営で財を成したウィリアム・E・ダッジ、後に大統領となる政治家のセオドア・ルーズベルト、弁護士のジョゼフ・H・チュート、モルガン財閥の創始者のジョン・P・モルガンに、数年来あたためてきたニューヨークに自然史博物館を建設するという構想を提案し賛同を得ました。そして、4月6日、ニューヨーク州知事のジョン・T・ホフマンがアメリカ自然史博物館を法人化(設立)する法律にサインし、アメリカ自然史博物館が正式に設立されました。

博物館としての開館は、1871年のようです。場所は、セントラルパーク内にあるアーセナル(Arsenal:兵器庫)というレンガ造りの建物。その名の通り、武器弾薬の倉庫として建てられたようです。そこは現在、ニューヨーク市の公園管理局や動物園の管理事務所が入居しています。また、今でも自然史博物館の収蔵品が収蔵されているところもあるようです。

このアーセナルの建物は、すぐに手狭になったようで、1874年、時のグラント大統領隣席のもとに新しい建物の起工式が行われ、1877年に時のヘイズ大統領隣席のもとオープン式典が開かれました。場所は現在の場所です。

建物は拡大を続け、さらに増築の計画もあるようです。アニュアル・リポートにはスケッチも掲載されています。

設立後、まもなくして各地に調査隊を派遣し調査とともに資料収集活動を始めているようです。こうした調査活動が学術的に裏付けされ充実した資料が展示される背景なんですね。

それにしても、設立の時から、アメリカの大統領をはじめ、大物の名前がずらり。すごいですね。

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ミッション

アメリカ自然史博物館のミッションは、科学的な調査、教育、展示を通して、人間の文化、自然界そして宇宙に関する知識・知見を得、解釈・理解し、広く普及することにあります。

To discover, interpret, and disseminate—through scientific research and education—knowledge about human cultures, the natural world, and the universe.

ちなみに、日本では自然史=natural historyは「自然」に限定することが多いと思いますが、アメリカなどの博物館では、natural historyには人類学・民族学の分野、人間の文化(human cultures)に関する領域まで含んでいることが多いことも知っておいた方が良いことでしょう。そういうわけで、この博物館に各地の民族的な展示があります。

アメリカ自然史博物館へGo!

アクセス/行き方

地下鉄だとB・C線81th St駅で降りるのが便利です。なんといってもこの駅の長い名前は“81th Street – Museum of Natural History”というぐらいですから。

駅のホームには、モザイクで、いろいろな動物が描かれています。駅に降りた瞬間から気分が盛り上がること間違いなしです。

チケット

チケットは、常設展が大人・個人・当日が23ドル。子ども料金(2-12歳)は13ドル、学生と高齢者(60歳以上)は18ドル。特別展や大型映像などは別料金です。

入館者が入館料金を自分で決めて支払うPay-what-you-wish チケットもあるようです。これはもちろん安く入りたい人にもいいでしょうし、逆に支援したいという方はもっと支払っても良いということです。このチケットは、カウンターで購入できますが、普通のチケットは自動販売機でも購入できます。ちなみに、自動販売機を導入しているミュージアムは、大型館ぐらいで、そんなに多くはありません。どちらかというと珍しい方だと思います。

ニューヨークの一大観光スポットですから、観光シーズンはとても混雑しチケット購入に時間がかかるようです。事前にネットで購入しておいた方が良いかもしれません。

また、並ぶのを避ける方法としては、館によりますが、セット券を購入するのも一つの方法かもしれません。ニューヨークでは、「CITYPASS」「NEW YORK PASS」「NYC EXPLORER PASS」などがあり、アメリカ自然史博物館でも使えます。ただし列をスキップできるかどうかは確かめていないのでわかりません。

見どころだらけの展示

最新のアニュアル・レポート(2017年会計年度)によると、収蔵品は3,400万点以上(34,120,652点)で、1年間で44,410点増えたそうです。ものすごい収蔵品の数です。展示されているのは一部なんですね。

展示は、豊富に所蔵している第一級の実物資料を展示することが主で、今どきのVRとかデジタル技術をフルに活用した展示、映像はあまりありません。もちろん必要に応じて、模型や造形、グラフィックなどは活用されています。

圧巻のジオラマ

アメリカ自然史博物館といえばジオラマを見どころ、目玉にあげる方も多いと思います。確かに、この自然史博物館のはく製、ジオラマの数々にはやはり圧倒され驚嘆します。

パーティーなどにも使われる大空間の海洋生物の展示ホールは、周囲にジオラマもありますが、空中に浮かんでいるクジラは迫力あります。ここは目玉の空間の一つでしょう。

この博物館には、10数年前に1度来ましたが、ジオラマは以前と変わっていないような気もするものの、クリーニングが行き届き、補修も適切に行われているようで、とても良い状態に保たれています。むしろ以前よりも良くなっているようなものもありました。

恐竜には少し窮屈?

恐竜の展示室は、以前来たときは工事中もありましたが、今回は一通り見ることができました。ただ展示室は、その多くが恐竜の大きさに比べて少し天井が低く、狭くて、恐竜がすこし窮屈そうでした。一部、レプリカなどもありますが、やはり数、質ともにさすがです。恐竜はアメリカでも子どもたちに人気で、目を輝かせている子どもたちがたくさんいました。

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充実の人類学展示

人類学・民族的な展示が充実しているのもここの特徴でしょう。人類学には自然人類学もあれば文化人類学もあると思うのですが、特に文化人類学的な展示のボリュームにも驚かされます。人と自然のかかわりを紹介するためには、やはりこうした展示は欠かせません。日本関係の展示も充実しています。

冠付き展示室・展示がすごく多い

寄付者の名前がついた冠付きの展示室がとても多いです。例えば、この博物館を紹介する写真によく使われる空中にクジラが飛んでいる展示室は、Milstein Family Hall of Ocean Lifeという名前です。ここはMilstein家という建築と不動産で財を成した一家の財団が寄付して作られたようです。また、ジオラマにも名前付きのものがあるなど、展示物へ寄付もあるようです。

やはりこの博物館に名前付きの展示室や展示があるのは、かなりのステータスなんでしょうね。

充実の教育普及活動

教育普及プログラムに19万人以上が参加

アニュアル・レポートによると、2017会計年度は教育普及プログラムに19万人以上が参加したそうです。プログラムの数はわかりませんが、毎日500人以上がプログラムに参加している計算になります。このページを見ると、どのような教育普及プログラムが行われているかわかります。

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ライブ・パファーマンスなど大人向けの文化的なプログラムなどが充実しているのも特徴といえるでしょう。

学校教育との連携

学校の校外学習で訪れる子どもたちも多そうです。他館でも見る光景ですが、子どもたちが床に座って、ワークシートを書いていたりスケッチしていたり。こういう活動はとても大切だと思います。子どもたちにステキな体験を提供しています。学校団体用の受付やランチルームもありました。

また、4,000人以上の教員に科学教育に関する研修を行っていることも特筆に値すると思います。

スリープオーバー:博物館にお泊り。映画「ナイト ミュージアム」を体験!?

アメリカ自然史博物館で有名なプログラムの一つに、「スリープオーバー(Sleepover)」があります。これは博物館で、一夜を過ごすというお泊り会イベントで、とても人気があるプログラムです。参加費は150ドル。大人のためのスリープオーバーもあり、こちらは350ドル。なかなか良い値段ですね。

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ナイト ミュージアム(原題:Night at the Museum)」は2006年の映画ですが、スリープオーバーはたしか映画の公開より前からやっているイベントです(間違っていたらすみません)。夜の博物館に興味を持つ人は多いのでしょうね。怖いもの見たさやお化け屋敷的な感覚もあるのかもしれません。

映画自体は、アメリカ自然史博物館が舞台といっても、外観だけで内部はスタジオのセットでしょうし、実際のアメリカ自然史博物館とは見た目以外にも異なる部分がいっぱいで突っ込みどころが満載ですが、映画としてみれば、続編も含めて個人的にはなかなか楽しめました。

そういえば、映画にセオドア・ルーズベルトが登場していましたが、このミュージアム設立の立役者ですから登場するのももっともですね。

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展示や教育普及活動の基本となっている調査委研究活動

海外28か国、国内14州で調査活動(2017年度)

博物館の基盤はコレクションと調査研究です。アメリカ自然史博物館では充実した調査研究活動が行われていて、2017年度は海外28か国、アメリカ国内14州で調査活動が行われました。こうした調査研究の成果が、3,400万点以上に及ぶ収蔵品の充実につながっているのだと思います。

Ph.D学位が授与できる

アメリカ自然史博物館には大学院博士課程に相当する教育機関があり、なんと生物学のPh.D(博士号)を授与できるそうです。知りませんでした。それだけ、高い研究と教育が行われているということなんでしょうね。また、この館では、生物学の博士号だけではなく、教育学の修士号も授与できるようです。

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最新情報

2017年の入館者数

TEA(Themed Entertainment Association)の調査のよると、2017年の入館者数は500万人で、全米のミュージアムで第5位だったようです。

2018年のスリープオーバー

2018年は、8月3日、10月13日(ハロウィーンのテーマ)、11月9、17日などに行われる予定ですが、すでに売り切れも出ているようです。

大人のためのスリープオーバーは、9月21日だそうです。要予約です。

ひとこと

前回来たのは10数年前ですが、アメリカ自然史博物館は2度目です。変わったところもあれば変わらないところもあります。変わっていないところも、手入れが行き届ききれいに保たれているのはさすがです。また、細かな展示替えなどもされています。大きく変わっていたのは、恐竜のところです。前回は一部を除き工事中でした。今回は宝石のところが工事中になっていて見ることができませんでした。また、いつか行きたい博物館です!

info 

American Museum of Natural History

  • 訪問日:2017年12月1日
  • 開 館:1869年設立、1871年が開館?
  • 入館者数:500万人(2017年)
  • 所在地:アメリカ・ニューヨーク(Central Park West at 79th Street, New York)
  • アクセス:地下鉄B・C線81th St駅すぐ、地下鉄1番線79th St駅から徒歩数分
  • 入館料:23ドル(大人・個人・当日) 割引制度あり。「Pay-what-you-wish」チケット(入館者が好きな入館料を支払うチケット)の制度もあるようです
  • 開館時間:10時から17時45分
  • 休館日:感謝祭、クリスマス
  • 公式サイト : https://www.amnh.org/

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訪問した日の旅行記です。