ホイットニー美術館/Whitney Museum of American Art:概要、歴史、展示、見どころ、アクセス・行き方、感想、最新情報など
ホイットニー美術館の歴史
ホイットニー美術館は、ガートルード・ヴァンダービルト・ホイットニー氏によって1931年に設立された、アメリカの現代美術、同時代の作家の作品を収集し展示している美術館です。
ホイットニー氏は彫刻家ですが、海運や鉄道で財をなしたアメリカ有数の富豪・ヴァンダービルト家の出身。その財産を生かして、伝統的な美術界・美術館では評価されていない同時代のアメリカのアーティストたちの作品を購入・展示するなどのパトロン活動を1907年からお亡くなりになる1942年まで続けていたようです。
1914年にはグリニッジ・ビレッジに展示スペース(the Whitney Studio)を開設。1929年には所有する500作品以上を、ちょうどその年に設立されたメトロポリタン美術館に寄贈を申し出たようですが、断られ自分で美術館を作ることにしたようです。さすがお金持ち、やることが違います。
1931年の開館時はグリニッジ・ビレッジにあった美術館ですが、その後、1954年に西54丁目に移転、さらに1966年に現在メトロポリタン美術館が分館として使っている、マルセル・ブロイヤー設計の建物に移転し2014年までそこで営業、そして、2015年5月1日に現在地へ移転・オープン。この建物の設計は、ポンピドゥー・センターや関西国空港のターミナル・ビルを設計したイタリアの大御所レンゾ・ピアノ氏です。レンゾ・ピアノ氏は、サンフランシスコのカリフォルニア科学アカデミーも設計しています。
2016年の入館者数は100万人以上。かなりの入館者数です。
【カリフォルニア科学アカデミーの投稿記事】
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ホイットニー美術館の特色
ホイットニー美術館の特色は、その英文名“the Whitney Museum of American Art”でもわかるように、アメリカの美術に特化しています。また、設立の経緯でもわかりますが、living American artists(存命のアメリカの作家)の作品を収集してきている点も特色だと思います。個々の作品ももちろん素晴らしいですが、アメリカの作家の作品がまとまって見ることができることができること自体が見どころといえるのではないでしょうか。
立地を生かした空間づくり
ここも空間がとてもよかったです。何より私がいいなと思ったのは、まわりには工場のようなところがありますが、そうした周囲の空気感みたいなものを巧みに取り込んでロケーションとうまくマッチさせている美術館だと感じました。特に、テラスからの眺望はまさにそれを感じさせます。
8階建ての建物で、各フロアは広いことは広いものの、すごく広いというわけないので、やはり縦構成にならざるを得なかったのでしょう。どの階も天井が高いので、現代美術の展示がしやすいと思います。
エレベーターは前後に扉が2つあります。一つは一般来館者用で展示室に向いている扉、もう一つはスタッフ用でバックヤード側が開きます。もちろんキーがなければバックヤード側の扉は開きません。敷地をうまく使うために、こうした工夫も必要だったんですね。
21,000点以上の収蔵作品
1931年の開館の時はおよそ600作品でスタートしたホイットニー美術館ですが、現在ではアメリカで活動している(した)3,000人以上の作家の作品21,000点以上を所蔵しています。現在でも、作品が広く評価される前、評価が定まる前の段階から購入をしているようです。設立(前)以来続いている作家を支援するという意味が強く生きているのですね。
イベント、教育普及プログラム、連携プログラム
ギャラリー・トークをはじめ各種の教育普及プログラムも展開されています。家族向きやスペイン語の解説ツアーなどもあるほか、パフォーマンスなどのイベントも行われているようです。
この美術館独自のビエンナーレも行われていたり、収蔵作品を活用するために他施設に貸し出すなどの連携も実施されていて、とどまることなくアクティブな活動が行われていることがうかがい知れます。
ホイットニー美術館の立地、行き方
現在の場所は、ミートパッキング・ディストリクト という地区にありますが、ここはもともとはその名の通り、食肉(加工)工場が立ち並ぶ地域だったようです。アーティストも多く住んでいるようですが、現在は、ホイットニー美術館とハイライン公園の効果もあってか、おしゃれなお店が増えてきて、注目スポットになっているそうです。
ホイットニー美術館は、地下鉄A・C・E線8th Av/14th St駅またはL線 8th AV駅などから徒歩数分ですが、天気の良い日は、34丁目あたりからハイライン公園を通って歩いてみるのも良いかもしれません。
ハイライン公園 ― 高架鉄道跡を利用した空中庭園
URL: http://www.thehighline.org/
ハイライン公園は、ホイットニー美術館のすぐ横が南端で34丁目あたりまで北の方に続いている全長2.3kmの公園です。この公園は、1930年代に作られたものの廃線となった高架鉄道跡に作られました。今も鉄道の名残りを見ることができます。
この公園にはアート作品が随所に置かれていてとてもおしゃれな雰囲気です。春とか夏、秋など暖かな時期だったら気持ちよく散歩できるでしょう。また、ここではいろいろなプログラムやイベントが行われているようです。実際、ウォーキング・ツアーらしき人たちを見かけました。チェルシー地区を通ったり、まわりの風景もとても素敵です。
info
Whitney Museum of American Art
- 訪問日:2017年11月30日 ハイラインは28日に訪問
- 開 館:1931年
- 入館者数:1,151,080人(2016年)
- 所在地:アメリカ・ニューヨーク(99 Gansevoort Street, New York)
- アクセス:地下鉄A・C・E線8th Av/14th St駅、L線 8th AV駅などから徒歩数分
- 入館料:25ドル(大人・個人・当日)割引制度あり。金曜日の19時から21時30分までは「Pay-What-You-Wish」チケット(入館者が入館料を決めるチケット)を販売しているようです(閉館22時)
- 開館時間:10時30分から18時(金・土は22時まで)
- 休館日:火曜日?7月、8月は火曜も開館?公式ウエブ・サイトをご確認ください)
- 公式サイト : https://whitney.org/
【姉妹サイトの投稿記事】
訪問した日の旅行記です。