モン-サン-ミッシェルとその湾/Mont-Saint-Michel et sa baie:概要、歴史、見どころ、アクセス・行き方、感想など
「モン-サン-ミッシェルとその湾」は、1979年に登録された世界遺産(文化遺産)で、海に浮かぶ修道院の絶景がとても有名です。イギリス海峡(英仏海峡)に面しているフランス北部のノルマンディ地方にあります。
モン-サン-ミッシェルの歴史:はじまりは夢のお告げ
モン-サン-ミッシェルは、モン・トンブ(墓の山)と呼ばれもともと先住民のケルト人が信仰する聖地だったようですが、修道院の島になったきっかけは708年のこと。モン-サン-ミッシェルに近いアヴランシュのオベール司教の夢に大天使ミカエル(ミッシェル)が現れ、岩山(モン)に修道院を建てるようにと告げたことから建設が始まりました。966年にベネディクト派の修道院が建てられ、11世紀にはロマネスク様式の、13世紀には “ラ・メルヴェイユ”(驚異なるもの)といわれるゴシック様式の3層構造の2つの建物などが建設され、ほぼ現在のようなかたちになりました。その後にルネサンス様式の建屋も建設されているようです。
この中世の頃(12~13世紀)、カトリックの聖地として多くの巡礼者が訪れるようになりましたが、サン・マロ湾の干満の差は15mにも及ぶほどで、潮に流され命を失う巡礼者もいたそうです。命がけの巡礼地だったのですね。
14世紀のイギリスとの百年戦争(1337-1453)の際には、修道院は閉鎖され要塞となりました。干満の差が激しい場所にあることから難攻不落の要塞になったようです。
18世紀のフランス革命の際には、監獄として使用され、王党派などの反革命派が収容されました。やはり孤島で管理がしやすかったのでしょう。サンフランシスコのアルカトラズみたいですね。
1863年にナポレオン3世の命により監獄が閉鎖され、1865年に修道院として復活。そして、1874年(日本では明治7年)に歴史的建造物に指定され、それ以来、景観も含めて修復工事が現在に至るまで行われているというのには驚かされます。
一方、1877年に堤防が築かれ安全に島と行き来できるようになりましたが、このために潮の流れがせき止められ、100年間で2mも土砂が堆積してしまうような状態。島のまわりにも土砂がたまり、急速に陸地化が進んだといいます。
1979年には世界遺産(文化遺産)に登録されました。また、1994年にはラムサール条約の登録地となりました。こうしたこともあってか、かつての姿を取り戻そうという動きが活発になり、2009年には堤防道路が取り壊され、2014年に新たな橋が開通、2015年に堤防は完全に撤去されました。ちなみに新たな橋の長さは760mです。
モン-サン-ミッシェルの見どころ、風景
「西洋の驚異」ともいわれるぐらい、海に浮かぶ修道院は絶景であることは間違いないでしょう。ただ残念ながら大潮など限られた時しかそのような姿を見ることができません。それでも橋を渡る前、対岸からの島の風景はかなりの景色です。どうしても海に浮かぶところを見たいということであれば、タイミングを選ぶことが大切です。探すといつ大きく潮がひくのかなどを調べられるサイトもあります。
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島へ-シャトル・バスまたは徒歩で
島には、無料のシャトル・バスで向かうのが一般的かもしれませんが、橋を歩いて渡るのもいいと思います。うまくすると素敵な風景が見られるかもしれません。
細い参道を通り、坂道を上がって修道院へ
島に到着したら、「前哨門」を通って中に入ります。要塞だったことが偲ばれます。
そして、「王の門」を通り抜けると、「グランド・リュ(大通り)」という参道。レストランや土産物屋さんが並んでいます。大通りという割には細い道です。ここを通ってどんどん上の方に行くと修道院に到着します。急坂もあってちょっと大変かもしれません。ちなみに有名な元祖オムレツ屋さんは王の門のすぐ手前です。
オーディオ・ガイドを聞きながら修道院を見学
修道院ではオーディオ・ガイドを借りて見学します(入場料に含まれています)。日本人観光客に人気のモン-サン-ミッシェルですから、もちろん日本語もあります。日本語の解説シートもあり、マップも記載されているので参考になります。
修道院はたびたび増築が行われているので、プレ・ロマネスク様式、ロマネスク様式、ゴシック様式、ルネサンス様式など多様な建築様式を見ることができます。意外に広いのに驚かされました。また、修道院からの風景もかなりの絶景で見どころだと思います。
私が訪れた時は、あまり観光客はいなくて静かな修道院を見学することができました。
モン-サン-ミッシェル百景
私は対岸に泊ったので、観光客があまり立ち入らない牧草地の方にも足を伸ばしてみたりしながら、朝昼晩のいろいろなモン-サン-ミッシェルを見ました。
島を散策
坂があってちょっと大変ですが、島を散策してみるのも良いと思います。要塞や監獄だった歴史も感じることができると思います。
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ビジター・センター
レンヌ駅などからのバス停やシャトル・バスのバス停、駐車場があるあたりにビジター・センターがあります。ここではモン-サン-ミッシェルのことや近くにある運河、周辺環境などのことが紹介されています。時間がある時にちょっと立ち寄ってみるのもいいと思います。
モン-サン-ミッシェルの味、名物料理
オムレツ
モン-サン-ミッシェルの名物料理といえば、オムレツ。巡礼者をもてなすための栄養豊富な卵料理としてはじまったそうです。島の参道グラン・リュのすぐのところに元祖オムレツ屋さんがありましたが、表に出ているメニューを見ると私にはかなりお高かったです。元祖で食べたという話の種にはいいと思いますが、私はホテルで食べました。そのホテルの料理は割とおいしいと評判のようでしたが、それでもオムレツは味がないというか薄味でした。ものすごいふわふわでしたけど。
プレ・サレ
オムレツと並んで有名なのが、プレ・サレ。pre saleとは、このあたりの潮風を受けた牧草で育った仔羊肉のことをいうようです。こちらも奮発して食べてみましたが、やはり薄味でした。
番外:ガレット
ネットで調べてみたら、ガレット(そば粉のクレープ)がおいしいお店があるというのを発見。行ってみたのですが、残念ながら定休日。前の日に行っておけばよかったです…。
ちなみに、モン・サン・ミッシェルの定番お土産は、ガレットのクッキーだそうです。
モン-サン-ミッシェルへのアクセス・行き方
私はパリから向かいましたが、何通りかの行き方があります。
TGVでレンヌまたはドル・ド・ブルターニュ
個人で行く場合、定番なのは、パリ(モンパルナス)からTGVでレンヌ駅に行き、バスに乗り換えモン-サン-ミッシェルまで行く方法だと思います。TGVではなく在来線で行くこともできます。
私が行ったのは、これではなく、レンヌの一つ先(?)のドル・ド・ブルターニュ(Dol de Bretagne)駅まで行って、そこからバスで行きました。タイミングがあえば、こちらの方がいいかもしれません。というのは、帰りにレンヌ駅を使ったのですが、レンヌ駅は大きな駅でバスの発着場が少し離れていました。おまけに駅が工事中でしたので、迷いそうでした。最近、工事が終わってわかりやすくなったという話もあるようですが、不安ということであれば、個人的にはドル・ド・ブルターニュ駅の方が良いと思います。駅舎の出口は一つで、そこを出ると目の前にロータリーがあり、そこに“Mont-Saint-Michel”の電光表示もされているバスが止まっていました。間違えようがないぐらいでした。
他にもドル・ド・ブルターニュ駅よりさらに先のサン・マロ駅までTGVまたは在来線で行きバスで行くとか、別の在来線でポントソン駅まで行ってバスなどのルートもあるようです。
不安ならバス・ツアー
やっぱり不安ということなら、パリからのバス・ツアーがいいかもしれませんね。日本語のツアーもありますし、日帰りもできます。
モン-サン-ミッシェルのバス停からはシャトル・バスまたは徒歩
モン-サン-ミッシェルのバス停に到着したら、シャトル・バスに乗り換えて島に向かいます。無料です。島までは2.5kmほど(そのうち橋が760m)。途中、数か所、ホテルがあるあたりなどにバス停があり、どこでも乗り降りできます。何か見せるとかも必要なくて、逆に戸惑ってしまいましたが、島との間を行き来するのに便利ですし、割と頻繁に運航しています。
ちなみに、このシャトル・バスは前後に運転席がついていてUターンしなくていいようになっています。モン-サン-ミッシェルを排ガスから守るためか、橋の途中、島の直前あたりでバスを下ろされるのですが、Uターン場所がないから前後に運転席を設けたのかもしれません。
ひとこと
年間300万人も訪れるというモン-サン-ミッシェル。日本人観光客をここでは多く見ました。他の場所では東洋系は中国人や韓国人が圧倒的に多くて、日本人の比率は低めでしたが、ここは違いました。ホテルで聞いてみると、そのホテルは宿泊した日のことなのかいつもなのかわかりませんが、半分は日本人客だといっていました。そのためかNHKも見られました。
海に浮かぶ絶景のモン-サン-ミッシェルは見られませんでしたが、大潮の日に行ってみたいものです。
info
モン-サン-ミッシェルとその湾/Mont-Saint-Michel et sa baie
- 訪問日 : 2017年12月15、16、17日
- 所在地 : フランス・モン-サン-ミッシェル(Le Mont-Saint-Michel, France)
- アクセス : TGVのRennes駅・Dol de Bretagne駅などからバス。※在来線も利用できます。パリからの現地バス・ツアーなどもあります
- 登録年 : 1979年
- 登録区分 : 文化遺産
- 開 館 : -
- 入場者数 : -
- 入場料 : 修道院 拝観料10ユーロ(大人・個人・当日) 各種割引制度あり
- 開館時間 : 修道院 1~4月 9時30分から18時、5~8月 9時から19時、9月~12月 9時30分から18時 ※時期により異なります。HPをご確認ください
- 休館日 :修道院 1/1、5/1、12/31
- 公式サイトなど : http://www.le-mont-saint-michel.org/ https://www.ot-montsaintmichel.com/
- ユネスコ世界遺産センターURL : http://whc.unesco.org/en/list/80/
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訪問した日の旅行記です。